【対談】リンダ・グラットン ✕ 山口周「生成AI時代に、どのようなキャリアを築くべきか」

AI要約

AIの普及により、キャリアや生活に大きな影響が生まれる可能性がある。

技術の進化により、新たな職業が生まれる一方、頭脳労働が代行されることによる影響も考えられる。

AI時代において、正解を出す能力だけでなく、他に求められるスキルが重要となる可能性がある。

【対談】リンダ・グラットン ✕ 山口周「生成AI時代に、どのようなキャリアを築くべきか」

山口周 はじめに、生成AIが広く普及していることは、私たちの生活とキャリアにどう影響するのでしょう?

リンダ・グラットン そうですね。とても重要な質問です。このことについて話し合えて嬉しく思います。これはCEOたちが最初に聞く質問なのです。AI技術の進化のスピードは驚異的ですからね。

ChatGPTがリリースされたとき、私も、あなたも、何百万人もの人が試しに使ってみました。

これは技術が人間に与える影響の長い歴史の一部です。機械と人は共に働いてきました。はじめ、機械は単純作業を代行してくれました。そして、今は知的な作業を代行しています。人間にしかできないと思われた仕事、会計やマーケティング、ウェブデザインも今は自動化できます。

そこで、まず言えるのは私たちのキャリアの道は方向を変えうるということ。今は存在すらしない職業にも就く可能性があるのです。ですから、キャリアの道は直線的にはなりません。技術の進化とともに、働き方をどう変えていくかを考えるのです。技術を最大限活用しながらね。

山口周 なるほど。AIの影響を歴史的文脈のなかで理解するのが大切なのですね。

リンダ・グラットン そうです。実際、私がAIについて考えるとき、AIを単体で考えることはありません。技術の発展の歴史の一部として考えます。

私たちがAIに興味を掻き立てられるのは、初めて人間のようなAIを目にしているからです。AIはリンダ・グラットン風の記事を書くこともできます。ブログも書けます。そんなものは初めてです。とても、わくわくします。同時に誰もが不安にもなります。

山口周 人類は200年前に産業革命を経験しました。当時、機械は力仕事を代行するようになりました。人間の代わりにね。

そして、いまのAIの出現は、頭脳労働の代行を意味します。それが大きな違いです。

リンダ・グラットン その通りです。頭脳労働を代行できる点に私たちは驚いているのです。日本あるいは英国のような国では、多くの価値が頭脳労働によって創造されています。会計、法律、教職、執筆、プログラミング……。こうした国では大事件です。

山口周 そうですね。私は「優秀」の定義がAIの影響で変わると考えています。従来は、正しい答えを素早く正確に出せる人が優秀とされてきました。マッキンゼーやBCG、東大、オックスフォード、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでもね。

こうした優秀な人たちは、弁護士や経営コンサルタントなど高収入の職に就いてきました。でも、今や機械は正解を極めて低コストで出せます。

AIが普及すれば、正解を出す能力の価値は失われます。ですが、私たちの「優秀」の定義はまだ変わっていません。そこにギャップがあるわけですが、この現象をどう思われますか?

本編ではリンダ・グラットンが考える「AI時代に求められるスキル」のほか、「日本人の強み」や「AI時代のキャリアを考えるうえでの3つの選択肢」などについて議論が展開されます。無料登録で全編をご覧いただけますので、ぜひご視聴ください。