株のプロが教える高配当投資「理想的なポートフォリオvs危険なポートフォリオ」

AI要約

株トレ ファンダメンタルズ編は株の知識が身につくクイズ形式の教科書で、業績や財務の読み方をわかりやすく解説している。

ポートフォリオNは時価総額が4兆円以上で業種のバランスが良く、ポートフォリオMは時価総額の小さい銘柄ばかりでバランスが悪い。

時価総額の小さい高配当利回り株にはさまざまなリスクがあり、財務分析の重要性を示唆している。

株のプロが教える高配当投資「理想的なポートフォリオvs危険なポートフォリオ」

 個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。「この株は売り? それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

● 『株トレ』にクイズに挑戦!

 予想配当利回りの高い5銘柄ポートフォリオのMとN。

 買うなら、どっちのポートフォリオ?

 正解:買うならポートフォリオN

● Nは時価総額がすべて4兆円以上、業種のバランスが良い

 ポートフォリオNは、日本を代表する超大型株ばかり。財務や収益力に大きな問題はないと考えられます。

 メガ銀行の自己資本比率(BIS基準)が16.2%と低く見えますが、問題ありません。

 銀行業はBIS基準で自己資本比率が8%以上あれば問題ないとされます。BIS基準で16.2%あるので、銀行業としては財務良好と判断されます。

 実際にこのメガ銀行は、株主への利益配分の一環として、自社株買いを積極的にやっています。自己資本にゆとりがある証です。

 さらに、5つの異なる業種に分散されています。

 総合商社は景気敏感株ですが、食料品・医薬品・メガ銀行・情報通信の4銘柄はディフェンシブ株です。

 配当利回りの高いディフェンシブ株を中心とした、業種分散の効いた良いポートフォリオです。

● Mは時価総額が小さい銘柄ばかりで、業種のバランスが悪い

 ポートフォリオMについても、きちんと財務分析すれば問題ない銘柄もあると思います。

 ただし、財務について詳しい情報がわからない以上、時価総額の小さい銘柄には不安があります。

 銀行・不動産・専門商社・建設・証券の5業種に分散していますが、どれも利益が不安定な業種です。

 メガ銀行・大手不動産・大手総合商社ならば収益が安定しますが、小規模の銀行・不動産・専門商社は安定しません。建設業も証券業も、利益は安定的とは言えません。

 このクイズを作ってから3ヵ月後、ポートフォリオMの銀行から、赤字・無配に転落すると発表がありました。米国のオフィスローンに多額の貸倒引当金の計上が必要になったためです。

 予想配当利回り5.9%だったのに、いきなり無配となったため、株価は発表の翌日33%下落しました。

 時価総額の小さい高配当利回り株には、このようにさまざまなリスクがあります。

 (本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)