投資プロが教える「株を買ってはいけない会社の1つの共通点」

AI要約

ベストセラー『株トレ』シリーズ待望の続編が登場。今回は業績や財務の読み方を解説。

投資家向けクイズ形式で株の知識を身につけることができる。

窪田真之氏によるファンダメンタルズ編で、ファンドマネジャーの視点から株の分析を学ぶ。

投資プロが教える「株を買ってはいけない会社の1つの共通点」

 個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。「この株は売り? それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

● 『株トレ』のクイズに挑戦!

 P社とQ社、どちらも業績不振で株価が下がってきており、そろそろ買ってみようと思っています。自己資本の中身を見て判断してください。

 P社とQ社、投資を避けた方が良いのはどっち?

● 【ヒント】自己資本の中身に注目

 ・資本金、資本剰余金=主に株主より集めたお金

 ・利益剰余金=内部留保。利益から配当金などを差し引いた残り

 ・その他包括利益累計額=バランスシートの含み益(マイナスならば含み損)

 正解:投資を避けたほうがよいのはQ社。

● Q社の利益剰余金「▲40」は問題

 利益剰余金は、創業以来の「成績表」です。

 これまで、どれくらいしっかり利益を稼いできたか、稼いだ利益をどれだけ「内部留保」として会社に残してきたかがわかります。

 会社が稼いだ税引後利益から、配当金、役員賞与など社外流出を差し引いて残ったものが、主に利益剰余金となります。

 利益剰余金が▲40ということは、創業以来まともに黒字を稼いだことがなく、赤字続きで自己資本を減らしてきた会社であることがわかります。

 Q社の資本金・資本剰余金は70もあります。主に株主から集めたお金がたっぷりあるのに、それを利益剰余金▲40で食いつぶして、自己資本比率が30%しかありません。

 株主の期待を裏切ってきた会社であり、こういう会社には投資すべきでありません。

● P社は、利益剰余金が「+18」でまずまずの水準

 P社は、創業以来きちんと利益を稼ぎ、そこから「内部留保」をしっかり残してきたことがわかります。

● P社はその他包括利益累計額が「+8」

 バランスシート上に含み益があります。日本企業で多いのは次の2つです。

 (1)その他有価証券評価差額金

 主に、保有する持ち合い株式の評価益です。

 1000円で買った株が1500円に値上がりしていれば含み益500円。売却しない限り、売却益とはなりません。

 税効果を勘案した金額が、「その他包括利益累計額」に入り、自己資本の一部を構成します。

 値下りして含み損となっている場合は、自己資本のマイナス要素となります。

 (2)為替換算調整勘定

 外貨(ドルなど)で購入した海外資産の為替調整額です。

 円安(ドル高)が進めばプラス、円高(ドル安)が進めばマイナスになります。

 (本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)