小田急ロマンスカー「VSEと性格真逆」EXEの将来 通勤に活躍、子供を泣かせた“名車”は次世代特急で置き換えへ

AI要約

小田急電鉄が新型ロマンスカーの設計に着手し、2029年3月の運行開始を目指す。

新型車両は古い車両の代替と後継を兼ね、現行のロマンスカーにさらなる質の高い移動時間を提供することを目指す。

具体的には、EXEの代替とVSEの後継として位置づけられ、伝統や歴史を継承しつつ、より快適な乗車体験を提供する計画。

小田急ロマンスカー「VSEと性格真逆」EXEの将来 通勤に活躍、子供を泣かせた“名車”は次世代特急で置き換えへ

 東京・新宿と箱根または湘南を結ぶ小田急電鉄の特急ロマンスカーは、観光と通勤の両面で毎日多くの人に利用されている。同社が新たな拠点を置く神奈川県海老名市にも「ロマンスカーミュージアム」を設けるなど、「小田急の顔」であることは昔も今も変わらない。

 国内外から訪れる観光客には大きな前面窓の展望席を備えた車両、通勤客には乗車定員が多く柔軟な運用ができる車両をそろえ、それぞれのニーズに応えてきた。

■VSEの後継車両でEXEを代替

 同社は9月9日、2029年3月の運行開始を目標とする新型ロマンスカーの設計に着手したと発表した。内外装デザインは新たにCOA(コア)一級建築士事務所、車両設計は従来の日本車輌製造が担当する。設計の着手は9月2日付。今後、約1年かけてコンセプトやデザインの検討を進めていくという。

【写真】こんなのロマンスカーじゃない! と子供を泣かせたEXE(30000形)の未更新車と、いまはもう見られないVSE(50000形)の外観や車内、運転席を車両基地で独占取材(40枚)

 同社は新型ロマンスカーについて「これまでの伝統や歴史、たくさんのお客さまとともに育んできたロマンスカーブランドを継承しながら、国内外のお客さまに一層上質な移動時間を提供できる車両にしていきたい」と説明。そのうえで、現役のロマンスカーのなかでもっとも古いEXE(30000形)未更新車の「代替」、すでに引退しているVSE(50000形)の「後継」と位置づけた。

 現在運用中のロマンスカーには1996年登場のEXEと、2008年デビューのMSE(60000形)、EXEをリニューアルして2017年以降に就役したEXEα、2018年に営業運転を開始したGSE(70000形)がある。

 新型ロマンスカーの代替対象となるEXE自体は、1963年登場のNSE(3100形)を置き換える目的で開発された。歴代ロマンスカーで初めて、10両編成を6両と4両で分割・併合できる構造を採用し、柔軟な運用を可能にした。分割した場合、片側の先頭車両は自動ほろ装置の付いた貫通タイプ、もう片方は非貫通タイプと、編成の両端でデザインが異なる。

■子供を泣かせた? EXE

 現在の10両での運転時は578席と乗車定員を最大化した反面、展望席は設けられていない。EXEの愛称は「Excellent Express(素敵で優秀な特急列車)」から名付けられた。ゆったりとしたソファのような座り心地のシートが日常的に利用する通勤客には評判がいいようだ。外観も「ハーモニック・パールブロンズ」と呼ぶ、なかなか渋い車体色をしている。