【4日間で全部回りきれない!】ドイツで開催される世界最大の鉄道見本市「イノトランス」 その見どころと鉄道業界における“欧州の存在感”

AI要約

イノトランスは、ドイツのベルリンで開催される国際鉄道技術専門見本市であり、世界最大の鉄道展示会である。

会場はメッセ・ベルリンと呼ばれる国際展示場であり、展示ホールや屋外展示場を備えており、多くの鉄道車両が展示される。

参加者は13万7403人を超え、鉄道車両だけでなく、保線用機械のデモンストレーションなども行われる。

【4日間で全部回りきれない!】ドイツで開催される世界最大の鉄道見本市「イノトランス」 その見どころと鉄道業界における“欧州の存在感”

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第22回は「国際鉄道技術専門見本市」について。

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 9月に入り、暑さも和らぎましたね。さて、9月というと、鉄道関係者が注目する国際的なイベントがあります。それが、ドイツの首都ベルリンで隔年開催される「イノトランス(InnoTrans=国際鉄道技術専門見本市)」です。今年の会期は9月24日からの4日間です。

 私は、8年前の2016年に「イノトランス」の会場を訪れ、その規模の大きさに驚きました。当時は4日間歩き回っても、全部の展示を見ることができませんでした。

 そこで今回は、当時の様子を交えながら「イノトランス」の概要にふれ、それがベルリンで開催される理由を探ってみましょう。

「イノトランス」の会場は、「メッセ・ベルリン」と呼ばれる国際展示場です。「メッセ・ベルリン」は、約11万平方メートル(東京ビッグサイトの約3.4倍)の展示ホールと、全長3,500メートルの線路(引き込み線)がある屋外展示場を備えた施設です。展示ホールの床面積が広いだけでなく、実物の鉄道車両を展示できるスペースがあるのが大きな特長です。

「イノトランス」は、世界最大の鉄道展示会です。たとえば前回の2022年の会期には、56カ国から2771社が出展し、137カ国から13万7403人の参加者が集まりました。

「イノトランス」の目玉は、世界各国から鉄道車両が集結する屋外展示場です。通常は顔を合わせるはずがない鉄道車両が、ここでは一堂に会しているため、マスメディアはこの様子をよく報道しています。

 興味深いのは、人を運ぶ旅客車だけでなく、物を運ぶ貨物車や、機関車、そして保線用機械も置かれていることです。私が行ったときは、保線用機械のデモンストレーションが行われており、多くの部品が動いて保線作業を行うという、通常はなかなか見ることができない光景を間近で見ることができました。