日本初公開となるロールス・ロイスの高級SUV「カリナン・シリーズⅡ」。ユーザー層若返りを可能にした戦略

AI要約

ロールス・ロイスの最新SUV「カリナン・シリーズⅡ」が2024年8月29日に日本で発表された。前モデルの成功により、ユーザー層の若返りが進んでいる。

日本でのロールス・ロイスは高級ブランドのイメージが強く、古くから存在感があるが、市場の保守的な側面もある。

ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクターのアイリーン・ニッケイン氏が日本市場での事業展開について洞察を示している。

日本初公開となるロールス・ロイスの高級SUV「カリナン・シリーズⅡ」。ユーザー層若返りを可能にした戦略

 ロールス・ロイス・モーター・カーズ(以下、ロールス・ロイス)のSUV「カリナン・シリーズⅡ」が、2024年8月29日に日本で発表された。このモデルの特筆点は、2018年にシリーズⅠが発売されて以来、世界的に販売好調で、ロールス・ロイスのユーザーの平均年齢を、2010年の56歳から43歳へと大きく引き下げたところだ。

【写真】日本初公開となるロールス・ロイスのSUV「カリナン・シリーズⅡ」の全貌。内外装を詳しく確認する(84枚)

■日本でのロールス・ロイスというブランドイメージ

 紳士靴のロールス・ロイスやシングルモルトのロールス・ロイスなど、最高級の象徴として例えられるほど、日本でも太平洋戦争前から存在感は大きかった。

 よく知られているところでは、麻生太賀吉(麻生太郎の父)が英国で購入して輸入し、戦後、岳父である吉田茂(第45・48・49・50・51代内閣総理大臣)が乗った1937年型「25HP/30HPスポーツサルーン」がある。

 しかし、確固たるブランドイメージは、時として弊害化することがある。たとえば、スポーツカーの市場。高級スポーツカーは50歳を過ぎてから乗るものというのが、かつての欧州での“常識”だった。一方でマーケティングに携わっている人間は、ブランドに対して若々しいイメージを求め、また市場拡大を考える。そこで苦労が生まれる。

 「日本の市場というのは、伝統的というか、保守的な側面がけっこう強い、というのが私の印象です」

 そう話すのは、ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクターのアイリーン・ニッケイン(Irene Nikkein)氏だ。東京でカリナン・シリーズⅡのお披露目に立ち会ったニッケイン氏が、日本でのロールス・ロイス事業の在り方について、興味深い洞察を披露してくれた。

 過去には、MINIジャパンのブランド・コミュニケーション&プロダクト・マネジメントの責任者を5年間務めるなど、日本市場を知悉しているニッケイン氏は語る。