「こんなに売れないとは…」クルマのサブスクKINTOが“苦境の初年度”を乗り越えて「10万人に選ばれる」まで

AI要約

クルマの持ち方が多様化する中、新しい選択肢として注目されるのがクルマのサブスクリプション。トヨタのKINTOがその先駆けとして成功を収め、若年層から支持を集めている。

自動車業界では大変革期が到来し、トヨタも「モビリティカンパニー」として新たなビジネスモデルを模索。KINTOは、長年の商慣習からの脱却を目指して誕生した。

オンラインを通じたクルマの販売を目指す中で、クルマのサブスクに着目。価格や所有の概念を変え、新しいクルマの持ち方を提案している。

「こんなに売れないとは…」クルマのサブスクKINTOが“苦境の初年度”を乗り越えて「10万人に選ばれる」まで

 近年、クルマとの付き合い方は多様化が進んでいる。クルマの利用頻度やライフスタイルに応じて「マイカー購入」や「カーリース」、「カーシェア」など、さまざまな選択肢がある。

 そんななか、購入でもシェアでもなく、新しいクルマの持ち方として注目されるのが、クルマのサブスクリプション(以下 サブスク)だ。

 2019年にサービスを開始したトヨタのKINTOは、クルマのサブスク市場における牽引役として事業を拡大しており、サブスク累計申込数は10万件を突破している。

 KINTOをきっかけに「ファーストカー(人生で最初に乗る車のこと)」を持つ若年層に主に支持されており、サービス利用者の4割が20~30代を占めているという。

 同サービスを運営する株式会社KINTO マーケティング企画部 部長の曽根原由梨さんへKINTOの現在地やクルマのサブスクの未来について話を伺った。

 2010年代後半は、自動車業界における「100年に1度の大変革期」が叫ばれ、既存のクルマのあり方や売り方などを変えていくことが求められた時代だった。

 トヨタも「自動車を作る会社」から「モビリティカンパニー」への変革を目指し、新たなビジネスモデルの確立やものづくりの進化に取り組むことを掲げたのだ。

 その一環で生まれたのがKINTOである。背景にあるのは「長年の商慣習からの脱却」だ。

 家電業界では、各メーカーの町の電気屋さんから家電量販店、Amazon等のEコマースに売り場が広がった。しかし、自動車業界では売り場が販売店しかなく、値段についても交渉するという商慣習が続いており、KINTO代表の小寺氏はそこに課題意識を感じていたという。

 その課題を解決するために「インターネットを介した新しいクルマの販売」を考えていくうちに、クルマのサブスクに着目したというわけだ。

「レンタカーやカーシェアの領域では、グループ内のトヨタレンタリースがサービス展開していました。このような状況で、インターネットを通じていろんなお客様にクルマの持ち方を提供する際に、カーシェアでも所有でもない第3の選択肢としてクルマのサブスクを考えて始めたのがKINTOになっています。

 クルマの販売だと、数百万円単位のお金を払っていただかないといけないですし、全国統一の価格で出すためにはサブスクのビジネスモデルが一番フィットしました」(曽根原さん、以下同)