《独自》ユニクロ柳井氏「日本人は滅びる」発言に元ネスレ日本CEOが賛同 「“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしている」バブル崩壊後の日本企業の失敗とは

AI要約

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が少数精鋭で働く必要性を強調し、日本の課題について警鐘を鳴らす。

創業者の前澤友作氏は日本人の底力を信じ、労働生産性の向上を訴える一方、ネット上で議論が巻き起こる。

元ネスレ日本代表取締役社長の高岡浩三氏は、外資系企業での経験から柳井氏の考え方に共感し、日本の現状を厳しく受け止める。

《独自》ユニクロ柳井氏「日本人は滅びる」発言に元ネスレ日本CEOが賛同 「“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしている」バブル崩壊後の日本企業の失敗とは

「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、日本テレビの『日テレNEWS』(8月26日放送)で述べた内容が波紋を広げている。同番組で柳井氏は、30年間低成長を続け、少子高齢化が進む日本はすでに中流階級の国ではないと語り、外国からの知的労働者を受け入れて少数精鋭で働く方向にシフトチェンジしないと、「日本人は滅びる」との危機感を表明した。

 これに反応したのが「ZOZO」創業者で実業家の前澤友作氏。〈滅びるわけないだろって〉と自身のXに投稿し、〈移民で労働人口を増やそうとする前に、日本人の労働生産性の最大化を諦めたくない。日本人の底力はこんなもんじゃない。もっともっとやれるはず〉と続けて思いを綴った。ネット上では柳井氏の発言が炎上する一方、前澤氏の発言には共感や賛同の声が多く寄せられているが、現場の課題を知る経営のプロはこの“論争”をどう受け止めたのか。

「僕は、圧倒的に柳井さんの言っていることのほうが正論ではないかと思いますね」

 そう語るのは、ネスレ日本の元代表取締役社長兼CEOである高岡浩三氏。外資系企業のトップを長く務めた経験を持つ高岡氏は、柳井氏の考え方に共感する。

「僕は外資系にいたので、少なくとも日本企業の経営者よりはプロ経営者とは何かを理解しているつもりです。『日本人が滅びる』とまで言うのは柳井さんの言葉のアヤだと思いますが、世界の中でこれだけ日本の地位が低くなっている現状では、彼と同じように、僕も選択的な移民政策はやらざるを得ないと思っています」(高岡氏、以下「」内同)

 高岡氏は、返す刀で“前澤氏優勢”の世の風潮に異議を申し立てる。

「柳井さんはZARAが始めた製造小売というビジネスモデルを磨いてユニクロを日本一のアパレル企業に育てました。前澤さんも一代でビジネスを始めた人ですが、立ち上げたZOZOTOWNをいいタイミングで売り抜けた。しかもZOZOTOWNは国内でしか展開していませんが、ユニクロは世界で勝負している。グローバルな競争社会のなか、『日本人はもっとやれる』という響きの良い言葉に共感したい人が多いのかもしれませんが、前線で仕事する柳井さんの言葉のほうが“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしていると考えます」

 高岡氏がそう考える背景には、シビアな現状認識がある。

「日本は世界で最も深刻なレベルで少子高齢化が進み、国力が衰えています。僕がネスレ日本の社長に就任する20年前にはすでに右肩下がりで、先進国はみんな“日本のようになりたくない”と思っていました。特にネスレのような食品企業は、人口が減って胃袋の数が減り、さらに高齢化で消費量が減ると、誰がやっても売り上げと利益を伸ばすのは難しい。それほど、少子高齢化はビジネスにとってマイナスになるのです」