都道府県別「企業が儲かっている」ランキング 東京は4位という意外な結果に

AI要約

トヨタ自動車やNTTの経常利益のランキングから、都道府県別の経常利益率ランキングに注目が集まる。

佐賀県が売上高経常利益率で首位になった理由や、福井県の優良企業についても言及されている。

地方の企業が堅実な経営を行い、全体の指数を押し上げている様子が明らかになっている。

都道府県別「企業が儲かっている」ランキング 東京は4位という意外な結果に

 企業が「日々の運営でどれだけ利益を上げているか」を示す「経常利益」。2023年度の決算を企業別に見ると、1位はトヨタ自動車の3兆6687億円で、2位はNTTの1兆8176億円、3位は三菱商事の1兆6803億円という結果だった。興味深いのが都道府県別のランキングだ。帝国データバンクのレポートによれば、1位は“意外”な結果に――。

※記事の一部は『帝国データバンクの経済に強くなる数字の読み方』(三笠書房)を参考にしています。

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「経常利益」とは、企業が目的とする本来の営業活動にともない直接発生する利益(営業利益)のほかに、本業以外で得られた利益や、有価証券の売却や預金の利息などで得られた利益を含んだ数字のことだ。

「中でも企業の経営状況の良し悪しを図る上で参考になるのが、“売上高経常利益率”です。本業の収益に金融財務の損益を加えたものであり、この値が高いほど相対的に総合的な収益力が良好であることを示し、企業の経営状況が良いとされます。もし陸上競技に例えるなら、優勝者が“キング・オブ・アスリート”と賞賛される10種競技の中でも、特に大事な競技とされる“棒高跳び”や“円盤投げ”がこの指標の位置づけになるでしょうか」

 そう解説するのは、帝国データバンク情報統括部の藤本直弘氏。

「売上高経常利益率」は「経常利益÷売上高×100」という計算式で弾き出される。この数値の中央値を都道府県別に比較することで、相対的にどの地域がビジネスにおいてより優れたパフォーマンスを見せているかが分かるのだという。

「経常利益の金額自体は東京都の中央値が約1663万円で突出して高くなっています。ただ、“売上高経常利益率”が最も高いのは3.18%の佐賀県なのです」(藤本氏)

 これは、やや意外に思われる方も多いかもしれない。ちなみに2位が福井県で3.00%、3位が島根県で2.99%、4位が東京都で2.95%、5位が富山県で2.79%という順位となっている。(いずれも値は2022年のもの)

 佐賀県と聞いて思い浮かぶのは、佐賀牛、有明海のムツゴロウ、お笑い芸人の「はなわ」のご当地ソング、Snow Manの佐久間大介が好きなアニメとして挙げる「ゾンビランドサガ」など色々とあるが、失礼ながら“地元の有名企業”と呼ばれるような会社はあまり思いつかない。なぜ、佐賀なのか――? 

「地元向けのディスカウントストアを展開するダイレックスや、体外診断用医薬品を製造するミズホメディーなどが売上高に比べて大幅な経常利益を上げ佐賀県全体の指数を押し上げています。他にも地元の医療法人や地方局のサガテレビなど、手堅い経営を行っている企業が多い印象です」(同)

 2位に名前のあがった福井県も、優良企業が多いのだという。

「北陸最大手の総合商社・三谷商事や、繊維の染色や樹脂加工を手掛けるセーレンなど、こちらも堅実な経営で知られる企業が多い」(同)