最近の若手のメンタル不調をどうしたらいいのか? 産業医が効果的な対策を解説
若手のメンタル不調が増加しているデータを元に、その傾向を説明する。
20~30代が特に休職者数の半数近くを占めており、精神科医療にも増加傾向が見られる。
若手のメンタル不調が増えている中で、若者がメンタルが弱くなったかどうかについて考察する。
新人類、ゆとり世代、Z世代、α世代──世代論は、どの時代でも論じられてきました。古代エジプトの石板にさえ「最近の若者は……」という記載があったとかなかったとか。産業医である私のもとにも「最近の若手のメンタル不調をどうしたらいいのか?」などという相談が常に寄せられています。
さて、実際のところ、いまの若手はメンタル不調が増えたり、メンタルが弱くなったりしたのでしょうか? 実際のデータや社会情勢を分析して、若手の心模様と具体的な処方箋について考えていきます。ちなみに若手の定義としては20代を中心に、広く30代も含めることとします。
さてさて、実際に若手でメンタル不調は増えているのでしょうか?
答えはYESです。まずは、その参考となるデータをいくつか紹介します。
<傾向>
・最新の2022年度のデータでは20代が1288人、30代が1867人
・全教員の約33%の20~30代が休職者全体の48%を占める
・学校への赴任から半年から2年目が多い
こちらは文部科学省が公表している公立小中学校の教員のデータです。メンタル不調を理由とする休みを集計しています。見てのとおり、年々増えています。しかも最新の2022年度のデータでは、一気に増加して6539人となっています。その中でも高い比率を占めるのが20~30代のいわゆる若手世代で、休職者全体の半分近く(48%)にのぼります(ちなみに20~30代の人数は全教員の約33%)。
また、厚生労働省の統計などで精神科医療にかかる年代構成を見ても、全体的に増加傾向にあるなかで20~30代も確実に増えています。人口比率として若者は減少傾向にあるわけですから、メンタル不調になる若手の比率が上がっていると言えるでしょう。
さて、こうしたデータをご覧になった皆さまには、必ずある疑問が浮かぶはずです。「いまの若手はメンタルが弱くなったのか?」という疑問です。次はこの疑問について考えていくこととしましょう。