ポイント72らマルチ戦略ファンド、安定リターンを確保-波乱の8月に
マルチ戦略のヘッジファンドはリセッションの可能性を巡る臆測に安定したリターンを上げた。
著名なファンドがプラスの運用成績を収め、市場の動揺にも対応した。
一部のトレーダーは厳しい環境下でポジションの清算やチーム閉鎖に追い込まれた。
(ブルームバーグ): ウォールアイ・キャピタルをはじめとするマルチ戦略のヘッジファンドは、米リセッション(景気後退)の可能性を巡る臆測などで世界市場に動揺が広がった先月に安定したリターンを上げた。
スティーブン・コーエン氏率いるポイント72アセット・マネジメントの8月の運用成績はプラス約1.6%だった。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。ショーンフェルド・ストラテジック・パートナーズとシタデル・ウェリントン、エクソダスポイント・キャピタル・マネジメントはそれぞれ約1%、ミレニアム・マネジメントは約0.7%のリターンを確保したという。
ウォールアイの「オポチュニティーズ・ファンド」(運用資産48億ドル=約6900億円)は3.4%の成績を記録し、マルチストラテジーの競合ファンドをリードした。
円キャリートレードの急速な巻き戻しや米景気懸念をきっかけに、東京からニューヨークに至る世界の金融市場が乱高下した中で、こうしたリターンは生み出された。ウォール街の恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は8月初旬の売り浴びせ時に前例のない水準にまで急上昇していた。市場は同月下旬に持ち直した。
こうした厳しい取引環境を背景に、ミレニアムとバリアズニー・アセット・マネジメント、ブルークレスト・キャピタル・マネジメントでは、一部のトレーダーがポジションの清算、あるいはチーム閉鎖に追い込まれた。
金融市場に吹き荒れた嵐、マルチ戦略ファンドではチーム閉鎖の犠牲も
ウォールアイは8月に毎週利益を上げ、同業をリード。株式ロング・ショート戦略とクオンツ戦略がリターンに大きく寄与した。
各社の広報担当者はいずれもコメントを控えた。
8月の各ファンドの成績は以下の通り。
原題:Multistrategy Hedge Funds Notch Steady Gains Amid August Turmoil(抜粋)
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