ハリス大統領候補の政策はまだよくわからない――「もしトラ」よりもかなり難しい「もしハリ」を予想しよう

AI要約

2008年のアメリカ大統領選挙では、民主党員はカリスマ的な候補者に魅了され、熱狂的な支持を示した。一方、共和党員は候補者の政策や実績よりも党派に忠誠を示す傾向がある。

最近の民主党員は、2016年の敗北を受けて現実を直視し、勝利を優先する姿勢を見せている。2020年の選挙では、ジョー・バイデンを唯一の候補として支持し、団結してトランプ政権打倒を目指した。

民主党員と共和党員の選挙参加動機や支持傾向には根本的な違いがあり、それがアメリカの政治風土を形作っている。

ハリス大統領候補の政策はまだよくわからない――「もしトラ」よりもかなり難しい「もしハリ」を予想しよう

 アメリカ大統領選挙には、こんなことわざがある。

 「民主党員は恋に落ちるが、共和党員は行列に並ぶ」

(Democrats fall in love, Republicans fall in line)

 2008年選挙では、民主党員は確かに恋に落ちた。キラキラと光り輝くような候補者のバラク・オバマに惚れ込んだのだ。だから選挙ボランティアもしたし、小口の政治献金も惜しまなかった。彼らはロマンチストなのである。

 ビル・クリントンやジミー・カーターも似たような感じだった。若い無名な候補者が「一大ムーブメント」になって、あれよあれよという間に大統領になってしまう。そんなストーリーはだいたいが民主党である。

 それでは共和党員はどうか。彼らは「親が決めた相手」でも、文句を言わずに投票してくれる。候補者がロナルド・レーガンでもブッシュ親子でも、投票日になれば投票所に行って行列に並ぶ。ときには、「俺、トランプは好きじゃないんだけどなあ……」などと言いつつ、それでも義理堅く投票してくれる。彼らは現実主義者なのである。2大政党の支持者の投票行動には、おおよそそんな違いがある。

■2020年の民主党員は「ぜいたくを言わず勝利を優先」

 ところが近年の民主党員は、恋をしていなかった。2016年選挙のヒラリー・クリントンは立派な候補者だったし、「女性初の大統領」を目指すという大義もあった。しかし心底から好きだったわけではない。「まあ、相手はトランプだし大丈夫だよね」と油断していたら、信じられないことに負けてしまった。そして彼らにとって、悪夢のトランプ政権が始まった。

 2020年選挙では、もうぜいたくは言っていられなかった。衆目の一致するところ、あのトランプを倒せる候補者はジョー・バイデンしかいない。トランプさんに取られたラストベルトの白人票を取り戻すには、それしかなかったのである。パッとしないお爺ちゃんだったけれども、そこは一致団結して勝たせたのである。