1時間待ちはザラ、いま東京都心の「定食屋」に長蛇の列が出来ている…意外なブームのワケ

AI要約

都心を中心に行列のできる「グルメ定食」が人気を集めている。

各地で人気の定食店がSNSで口コミ拡散し、ウェイティングが発生している。

定食の価格は1500円~2800円と高額なものもあり、特別感を求めて人々が行列を作っている。

1時間待ちはザラ、いま東京都心の「定食屋」に長蛇の列が出来ている…意外なブームのワケ

ごはんに汁物、メインのおかずや小鉢が一つのおぼんで提供される定食は、日本人にとってなじみ深い食事スタイルだ。特別なものというよりは日常で食べる定食だが、最近、わざわざ「並んで食べる」定食屋が、都心を中心に登場している。

例えばファッションビル「渋谷PARCO」の地下1階、飲食フロアの一角にある、土鍋で炊いたごはんが自慢の定食屋「土鍋ごはん いくしか」。様々な飲食テナントが並ぶフロアの中でも行列がひときわ目立っており、筆者は平日12時ごろ訪れたもののあまりの行列の長さにおののきいったん退散し、時間をつぶして14時半ごろに再び訪れるも列は途絶えておらず、結局30分ほど並んで定食にありつけた。

代官山の日本酒居酒屋「ごはんや一芯」の行列にも仰天した。同店は居酒屋だが、昼には定食を提供しておりこれが大盛況。地下にある店舗までの階段に人がずらり。筆者は平日の11時半ごろに到着し、1人だったため優先的にカウンターに案内され待ち時間は20分で済んだが、ネットの口コミによれば1、2時間も待つこともあるようだ。三連羽釜で炊き上げた「おひつめし」の定食を求め、人々は並んでいる。

三軒茶屋の「食堂かど。」や、その系列である下北沢の「下北六角」も、夜は居酒屋として営業するが昼に提供する定食が大人気。数十分のウェイティングができていることは珍しくない。特に焼き鮭にイクラをのせた定食が人気で、SNSに多くの写真が投稿されている。

渋谷駅前の商業ビル「東急プラザ渋谷」6階に今年7月にオープンしたばかりの「出汁林」も、オープン間もないながらもSNSで口コミが広がり、ウェイティングが発生することもあるそうだ。京都の米料亭「八代目儀兵衛」の米で炊くごはんに、卵や鹿児島県産の本枯れ節の鰹節はかけ放題という趣向になっている。

恵比寿の「ふ定食屋」も、SNSで口コミが広がりウェイティングができることもあるという人気店。おかずや小鉢を自分好みの組み合わせで楽しめる定食を提供する。

このように、最近、行列のできる定食店の例は枚挙に暇がない。いつから定食は並んで食べる、グルメなものになったのか――定食といえば、「お腹が空いたときにふらっと入れて、財布にもやさしい食事」のようなイメージがある人も多いのではないだろうか。

ひと昔前、ファストフードのイメージが定着していたハンバーガーに「グルメバーガー」という分野が登場したように、いま定食も「グルメ化」している。上記の店の定食の価格はおおよそ1500円~がほとんど。中には2800円のプレミアムな定食もあった。物価高騰の影響もありつつ、昼食に2000円以上かけるのはなかなか特別感がある。人はこの「グルメ定食」なるもの求め、行列を作っている。