『パルワールド』で新会社設立のソニーグループ、裏にある任天堂との「埋まらない差」

AI要約

今年初めに「ポケモンのパクリ疑惑」で注目を集めた『パルワールド』が総プレイヤー数2500万人を突破し、新会社パルワールドエンタテインメントの設立が発表された。

ポケットペアによるゲーム開発手法や過去のヒット作例、パルワールドの成功要因について紹介。

パルワールドのセールス記録やグローバル展開について解説している。

『パルワールド』で新会社設立のソニーグループ、裏にある任天堂との「埋まらない差」

 今年初めに「ポケモンのパクリ疑惑」でネットを騒がせたオープンワールドサバイバルクラフトゲーム『パルワールド』。騒ぎとは裏腹に総プレイヤー数2500万人を突破するなど人気を博す同ゲームだが、開発元のポケットペアとソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)などが、共同で新会社パルワールドエンタテインメントを設立することも驚きを呼んだ。コンテンツ分野でグローバルな快進撃を続けるソニーグループだが、今回の新会社設立には、同社の「ある弱点」が背景にあると見られる。パルワールドをめぐる一連の動きを解説する。

 まずはパルワールドを生み出した、ポケットペアについておさらいしておきたい。

 ポケットペアは、仮想通貨取引所 Coincheck創業者の溝部拓郎氏が2018年に設立したゲーム企業だ。現在は50人程度の規模で、スクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコなどの大手ゲーム企業と異なり、企画力や意思決定の速さで勝負する。

 現在ゲーム市場では、Steamに代表される世界を直接相手にできるPC向けゲーム配信プラットフォームと、UnityやUnreal Engineなどの無料で高性能なゲームエンジンが普及したことで、世界中に個人から中小企業レベルのゲームパブリッシャーがひしめいている。

 そんな中でポケットペアは、過去のゲームのヒット要素を組み合わせることで、売れるゲームを開発するという手法を取ってきた。2019年に同社からリリースされた『Overdungeon』はカードゲームの『Slay the Spire』とリアルタイム対戦ストラテジー『クラッシュ・ロワイヤル』からヒントを得て、ビジュアル要素は市販のアセットを組み合わせて作ったものだったが、10万本以上のセールスとなった。

 2020年にリリースされた『Carftopia / クラフトピア』は、『マインクラフト』と『ゼルダの伝説』を組みあわせたクラフトゲームとして発想し、そこにほかのゲームの経営や生産管理要素を入れて、60万本を超えるヒット作となった。

 そして、クラフトピアの利益をすべて注いで作ったというパルワールドは、発売6日目にしてSteam同時接続数200万人を突破して歴代2位に輝いた。ちなみに、ほかの日本企業ではKADOKAWAグループ/フロム・ソフトウェアの『ELDEN RING』が95万で7位、カプコンの『Monster Hunter:World』が33万で30位。すでにグローバルではパルワールドのほうがメジャーだとも言える。

 販売本数も、発売から約1カ月でSteam 約1500万本、Xbox 約1000万人で、総プレイヤー数計2500万人を達成。膨大なサーバーへのアクセスを処理するためにマイクロソフトがサポートを行うに至った。