AI予測が「高精度」とは言い切れない納得理由、台風10号に学ぶ「予測情報の生かし方」

AI要約

台風10号が非常に強い勢力を持って、日本を直撃。大きな影響が懸念されており、被害額が2.9兆円に上る可能性も指摘されている。

台風情報と需要予測の類似性に注目。未来予測を正しく読み取り、適切な行動を取ることの重要性を強調。

需要予測には複数のモデルがあり、台風の進路予測と同様に複数の予測結果を比較することが重要。

AI予測が「高精度」とは言い切れない納得理由、台風10号に学ぶ「予測情報の生かし方」

 台風10号が非常に強い勢力を持って、日本を直撃しています。特に九州や中四国への大きな影響が懸念されていますが、大阪や神戸まで進路が入った場合は被害額が2.9兆円に上る可能性も指摘されています。これら台風情報といった未来予測が発信されているは、私たちの仕事や生活への影響を最小限に抑えるためです。つまり、未来予測を適切に読み取り、次の行動にどう生かすかがとても重要なのです。これら一連の流れはSCM(サプライチェーンマネジメント)における需要予測と非常に似ています。そこで今回、ビジネスにおける需要予測の読み方と、意思決定への生かし方について、台風情報と比較しながら解説します。

 台風10号が、非常に強い勢力で日本を直撃。過去最強クラスとも言われ、これまでにないほどの暴風や高波、記録的な大雨の可能性が危惧されています。列車の計画運休や航空機の欠航、道路の通行止めなど交通機関が大きく乱れているほか、家屋の倒壊などへの注意喚起も出されており、甚大な被害をもたらす可能性があります。多くの人はこうした未来予測の情報を踏まえながら、その日に何をするのか、どう行動するのかを決めていることでしょう。

 過去の本コラムでも取り上げましたが、実はビジネスにおける需要予測と気象予報はかなり似ています。どちらも因果関係を踏まえた最新情報を収集し、AIなどの高度なモデルを使って未来を予測します。

 需要予測には複数のモデル(図1)がありますが、今回の台風10号の規模や進路の予測についても複数の予測モデルによる結果が提示されていました。

 たとえば、地球全体における各地の気圧、気温、風向風速、水蒸気量などの観測データを分析する全球モデルによる予測や、日本の周辺にフォーカスして分析するメソモデルによる予測などが発表されていました。ただ台風の規模や進路の予測については、どちらの方が精度が高いかは言いづらいそうです。

 これは筆者の推測ですが、全球モデルでは日本から遠く離れた場所の大気の条件も考慮できる一方、分析するための単位(地図を格子状に区切った範囲)が粗くなるため、どちらのほうが高精度か、ということにはならないのだと思います。

 ビジネスにおける需要予測も同じで、必ずしも高度なAIモデルの精度が高いわけではないのです。