米大統領選、投資家が迫られる戦略見直し-ハリス氏に勢いで景色一変

AI要約

米大統領選の見通し変更に伴い、ウォール街でのボラティリティーが上昇している。

ハリス副大統領の支持率上昇が注目されており、市場の動きにも反映されている。

トランプ支持銘柄の失速や民主党バスケットのパフォーマンスが注目されている。

米大統領選、投資家が迫られる戦略見直し-ハリス氏に勢いで景色一変

(ブルームバーグ): 波乱含みの米大統領選を巡り、ウォール街は見通しの変更を急いでいる。バイデン大統領の選挙戦撤退までは共和党候補トランプ前大統領が優位とみられていたが、民主党候補となったハリス副大統領の支持率上昇が続いているからだ。

「短期的に最も起こり得るシナリオはボラティリティーの上昇だろう」と、ザックス・インベストメント・マネジメントのクライアントポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は指摘。「それによってプライシングにアノマリーが生じ、アクティブ運用者にとってはリスクバランス再調整の機会が訪れるかもしれない」と述べた。

先週の民主党全国大会後にリアル・クリア・ポリティクスが集計した世論調査の平均支持率は、ハリスが48.4%で、トランプ氏の46.9%を上回った。バイデン氏が撤退を表明した段階での支持率はハリスが46.2%、トランプが48.1%だった。

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こうした変化は市場の動きにも表れている。両党の政策などに絡んだ取引戦略を追跡するゴールドマン・サックス・グループの指数では、バイデン氏の選挙戦撤退直後から、民主党バスケットが共和党バスケットを上回るパフォーマンスを見せている。

大手金融機関では、UBSグループの資産運用部門が先週、連邦議会がねじれた状態でハリス氏が勝利するのが最も可能性の高いシナリオだと予想。ゴールドマン・サックスは選挙関連のトレーディング戦略の構成銘柄を入れ替え、共和党が大勝する確率が低くなったとの見方を反映させた。JPモルガン・チェースは今月に入り、米大統領選でどちらが勝つかは五分五分だと指摘。以前はトランプ氏勝利の可能性の方が高いとみていた。

トランプ銘柄失速

「トランプトレード」の崩壊は幅広い指数ではなく、セクターや個別銘柄から見て取れる。

その一例が民間刑務所運営会社だ。GEOグループの株価は、バイデン氏が散々な結果に終わった6月27日の第1回討論会前は13.50ドル前後で取引されていたが、7月中旬には18ドルまで急伸。現在は13.50ドル付近に戻っている。コアシビックの株価は討論会前には12ドル前後だったが、7月半ばに15ドル超に上昇し、足元では13.50ドル前後まで下げている。