パリ五輪 でアスリートたちがこぞってオタク趣味を披露。体育会系とオタクの分断はもはや過去のものなのか?

AI要約

パリ五輪でアスリートたちがアニメの影響を示し、その人気加速が見られる。

アニメ文化がスポーツ界にも浸透し、特に若い世代に人気。

アスリートやファンがアニメ愛を積極的に表現し、オリンピック文化にアニメ要素が根付いている。

記事のポイント

パリ五輪で多くのアスリートがアニメの影響を示し、人気の加速が伺えた。

アニメ文化がスポーツ界にも浸透し、とくに若い世代が熱中している。

アニメ等のオタク趣味は今やクールとされ、マーケターのキャッチアップも必須に。

アニメが主流のカルチャーにしっかりと根を下ろした証拠がまだ足りないという人も、ことしのパリ五輪を見れば納得するだろう。

アニメの勢いは、7月26日のパリ五輪開幕の時点ですでに明らかではあったものの、この世界最高峰のスポーツイベントでさらに加速した。多くの国々のアスリートがお気に入りのアニメから拝借した印象的なビクトリーポーズで新たなファンを獲得する一方、観客はインターネット上に、アスリートをアニメキャラクターにたとえるミームを溢れさせた。

パリ五輪でアスリートたちが見せたアニメ愛の片鱗は数え切れない。米国の短距離陸上のノア・ライルズ選手は、レース前に『遊☆戯☆王』カードを見せ、男子100メートルで金メダルを獲得した時には『ドラゴンボール』のかめはめ波のポーズをとった。

米国の砲丸投げのペイトン・オッターダール選手は、アリーナ入場時に『ONE PIECE』の主人公を真似たパフォーマンスを見せ、バレーボールチームは『ハイキュー!!』の主題歌を流した。これでもごく一部の例だ。

「プロスポーツ界でも、(NFLの)ジャマール・ウィリアムズ選手、(NBAの)ザイオン・ウィリアムソン選手、(NBAの)ジョエル・エンビード選手などが、積極的にオタク文化、とくにアニメへの関心を発信している」と、アニメ・ゲームブランドを専門に扱うコンサルティング企業「オニビジョン(Oni Vision)」の創業者であるタチアナ・タッカ氏は指摘する。「アスリートは常にオタク文化に引かれてきたように思う。これまでそこにスポットライトが当たらなかっただけではないだろうか」。

東京で開催された前回の夏季五輪でも、アニメのモチーフは頻繁に登場した。たとえば、日本のあるテレビ番組司会者は『NARUTO─ナルト─』のキャラクターのコスプレ姿で一部の五輪報道を行った。だが、ことしのオリンピックではアニメへの言及が爆発的に増え、しかもほとんどはアスリート自身が発信しているのだ。

「2021年に開催された東京五輪では、開催地を考えれば(アニメとの結びつきが強調されるのは)文化的にみて筋が通っていたが、そこからアニメはさらに飛躍したと断言していいだろう」と、ジャーナリスト兼マーケターで、2022年以降アニメの台頭について取材を続けているケリー・ワーナネン氏は語る。「アスリートとファンはアニメ愛を示すのを心から楽しみ、オリンピック文化に浸透させた。若いアスリートとオーディエンスがソーシャルメディアでこうした瞬間に言及したおかげだろう」。