『魔神英雄伝ワタル』最終回を覚えてる? 時代の変わり目に時代を作ったロボアニメ

AI要約

1988年から89年にかけてTV放送されたアニメ『魔神英雄伝ワタル』は、青年向けに作られることが多かったロボットアニメを少年向けに回帰させ、新たなブームを巻き起こした作品として高い人気を獲得した。

当時のロボットアニメが危機に瀕していた中、『ワタル』は子供たちが親しみやすいキャラクターデザインと単純明快なストーリーで注目を集めた。

声優陣の豪華なメンバーも話題となり、2020年の最新作でも再登板することでファンを喜ばせた。

『魔神英雄伝ワタル』最終回を覚えてる? 時代の変わり目に時代を作ったロボアニメ

 1988年から89年にかけてTV放送されたアニメ『魔神英雄伝ワタル』は、その頃、青年向けに作られることが多くなりつつあったロボットアニメを少年向けに回帰し、新たなブームを引き起こしたエポックメーキング的な作品として高い人気を獲得しました。当時のロボットアニメや『ワタル』を巡る出来事、そして意外な最終回を振り返ります。

『魔神英雄伝ワタル』の登場前、ロボットアニメは危機に瀕していました。1985年には放送されたロボットアニメ4作品中『機動戦士Zガンダム』を除く3作品がさまざまな理由から打ち切られ、1987年にはサンライズ制作のリアルロボット作品が『機甲戦記ドラグナー』をもっていったん終了となっています。

 子供が純粋に楽しむことが難しい、シリアスで重たい物語が増えすぎたのではないか……『魔神英雄伝ワタル』は、そのような危惧から制作された作品です。

 主人公の「戦部ワタル」をはじめとするキャラクターデザインを務めたのは、長く日本のアニメ界で印象的な活躍を続けた芦田豊雄氏(2011年没)でした。本企画に参加した、後に『サクラ大戦』などを手がける広井王子氏の「いまビックリマンチョコ流行ってるけど」という発言がきっかけで、キャラクターやロボットは頭身の低い、顔を中心とした、子供たちが親しみやすいデザインとなっています。

 ストーリーも、救世主として召喚されたワタルが物語の舞台となる「創界山」を仲間と共に冒険し、悪の帝王「ドアクダー」と部下たちを倒すという、単純明快なつくりとなっていました。ドアクダーの部下を倒し、少しずつ創界山を解放していく流れは当時、流行していた「ドラゴンクエスト」シリーズをはじめとするロールプレイングゲームの要素が取り入れられており、うまく時代の流れをとらえていたといえるでしょう。

『ワタル』を話題とする時に欠かせないのが、声優陣です。ワタル役は『ワンピース』の「ルフィ」役などで知られる田中真弓さん、ヒロインの「忍部ヒミコ」役は、これが初のメインキャラとなる林原めぐみさん、ライバルの「虎王」は『シティハンター』の「牧村香」役で知られる伊倉一恵さん、「渡部クラマ」役を山寺宏一さんが担当しています。

 2020年に配信された最新作『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』では、再びこれだけのメンバーを集められるのか心配する向きもありましたが、無事、多くの役者さんが再登板を果たしてファンを歓喜させました。