珠洲市の事業所、営業再開6割 狭い仮設住宅で「客が来ない悪循環」

AI要約

珠洲商工会議所が、加盟している事業所の営業再開状況をまとめた結果、323事業所が再開し、87事業所が廃業していることが分かった。

観光業や製造業が再開が遅れており、特に観光業では再開した事業所が少ない状況が続いている。

袖良事務局長は、住民の生活が落ち着かない状況下での営業再開の難しさについて語っており、今後の市場縮小への懸念を示している。

 【石川】珠洲商工会議所は、会員として加盟している珠洲市内の事業所の営業再開状況をまとめた。今年3月21日時点で加盟していた533事業所のうち、323事業所が営業を再開したものの、87事業所は廃業を余儀なくされた。残る123事業所は休業または連絡が取れない、としている。

 営業再開が最も遅れているのが、79事業所ある宿泊や飲食などの観光業だ。再開したのは33事業所にとどまり、連絡が取れなかったり休業したりしているケースが35事業所あった。

 鉄工所や窯業(ようぎょう)など製造業も、35事業所のうち再開しているのは16事業所だけ。148事業所が加盟する小売店など商業も、再開しているのは75事業所と低水準だ。一方、復旧に欠かせない建設や土木など120事業所ある工業は98事業所が再開している。

 同商議所の袖良暢事務局長は「狭い仮設住宅での生活を強いられている住民が多く、物を購入しようにも、生活必需品以外は置く場所がない」と指摘。このため、営業を再開したとしても、購買意欲の落ちた客が来ない悪循環が生じているといい、袖事務局長は「住民の生活が落ち着き、住居が元に戻らないと市場規模は更に小さくなる可能性がある」と話している。(安田琢典)