新商品のプロモーションはなぜ失敗することが多いのか?

AI要約

この新連載では、トップマーケターの音部大輔さんが読者から寄せられた質問に回答しながら、ビジネスの現場で活かせるマーケティングスキルを伝授します。

今回は初回特別編として、新商品の発売を成功させる戦略について3回にわたって解説します。マーケティングの思考法を通じて、仕事に役立つヒントを得ることができます。

サプリメント市場に新商品を導入する際の失敗経験や成功の秘訣について音部大輔さんが解説します。

新商品のプロモーションはなぜ失敗することが多いのか?

この新連載では、毎回トップマーケターの音部大輔さんに、読者から寄せられた質問に回答しながら、ビジネスの現場で活かせるマーケティングのスキルを惜しみなく伝授していただきます。

今回は初回特別編として「新商品の発売を成功させる」ためにどのように戦略を組み立てていくのか、前編・中編・後編と3回にわたって丁寧に解説します。マーケティングの思考法を知ることで、気づきや今の仕事にも役立つヒントが得られるかもしれません。

【状況説明】

メーカーでサプリメントのマーケティングを担当しています。新商品である睡眠サプリのローンチプロモーションをこれまで自社商品で成功していたマーケティング理論に基づいておこなったところ、思うような成果が上がりませんでした。

失敗の原因として、参入する市場とターゲット像の分析が甘かったことを痛感しております(ターゲットの価格の受容性、睡眠サプリに対する顧客の知覚、同時に上市された競合商品との価格劣後など……)。

【音部さんに聞きたいこと】

自社に知見がない市場に新商品を上市するとき、音部さんのなかで「ここだけは絶対に押さえる」エッセンスや視点について、ぜひ教えていただきたいです。さまざまな成功知見をお持ちである音部さんが、同じ状況に立たれたときにご自身のマーケティング理論やフレームワークを用いながら本質をどのように見極めるのか、知りたいと思っております。

※この連載では音部大輔さんへの質問を募集しております。音部さんに聞きたいことがある方は以下のボタンをクリックして、質問をご入力ください。

音部さんへの質問はこちらから

最初の回に質問をお送りいただきありがとうございます。おかげで無事に企画を開始することができました。編集のみなさんと一緒によろこんでいます。

さて、新商品を導入したけれどうまくいかない、というのは耳にすることの多い話です。こうすれば必ず成功する、といった秘訣はあまり知られていませんが、これをしないと失敗しがち、といった経験則やフレームワーク、押さえるべき視点などはありそうです。経験を通して知りえたことなどお話ししたいと思います。

そもそも新商品を導入するにあたっては、既存商品では成しえないことを実現したいという企図があるのだろうと思います。それは、なにがしか新しい領域に踏み込んでいくことなので、既存商品で得られた技術的な知見は、それほど役には立たないかもしれません。

すでにサプリメント市場に参入していたとしても、個々のサプリメント市場には異なるニーズやインサイトが存在するでしょう。日用品といっても洗剤と紙おむつでは、アプローチは異なります。化粧品といってもスキンケアとメーキャップは同じではありません。スポーツカーと軽ワゴンとミニバンでは、同じ流通チャネルでも消費者のニーズもインサイトも競合もかなり異なります。複数の製品カテゴリーにまたがるサプリメント市場全体を単一の市場として捉えることに、いくばくかのあやうさがあるかもしれません。

初回から大きなテーマなので、3回に分けてお答えしていきたいと思います。前編はすべての前提となる目的について、中編でマーケティングの市場創造について、後編ではブランド作りについてお話しします。