対象は全従業員、旭化成が進める「デジタル人材4万人化計画」の中身とは?

AI要約

旭化成はデジタル先進企業としての地位を確立し、DX化に向けた全社改革に取り組んでいる。

DX成功のカギは「人」「データ」「組織風土」という3つのファクターにある。

旭化成はデータ活用、人材育成、組織風土の改善に注力し、全社員のデジタルリテラシー向上を図っている。

 4年連続で「DX銘柄」に選定されるなど、デジタル先進企業としての地位を確立しつつある旭化成。同社はいかにしてDX化に向けた全社改革に取り組んできたのか。

 本連載では『人・データ・組織風土で奏でる 旭化成のデジタル共創戦略』(旭化成株式会社デジタル共創本部編/中央経済グループパブリッシング)から、内容の一部を抜粋・再編集。同社のDX史をひも解きながら、組織形成や人材育成など、企業に求められるDX戦略の在り方を探る。

 第5回は、デジタルのエキスパート育成に加え、全社員のデジタルリテラシー向上を目的に旭化成が取り組む独自プログラムの全体像をお伝えする。

 ⑴ DXを成功に導くファクター

 旭化成では、DXを成功に導くカギとして「人」「データ」「組織風土」という3つのファクターを挙げ、DXの取組みを強化・加速するために、これらのファクターに紐づく様々な施策やプログラムを展開しています。

 DX推進において何よりも重要となるのが、蓄積された「データ」です。このデータは「宝の山」ですが、適切に活用されなければ真価を発揮しません。各現場で眠っていたデータを事業部間で共有し活用することで、より質の高いデータの蓄積を心掛け、DXのさらなる発展を図っています。

 また、データを活用するには高いDX技術を持つ「人」も重要です。2024年までに2021年度末の10倍に当たる2500名のデジタルプロフェッショナル人材を育成・確保することを目標に掲げ、人材育成にも力を入れています。

 そして、現場のリアルな経験から新たな価値を創造する「組織風土」の醸成も重要です。DXはデジタル技術に通じた特定のスペシャリストだけで進められるものではなく、全社員がデジタル技術の活用に意識を向け、データの重要性を理解し活用できるようになることが求められます。

 そのために、旭化成は、「デジタル人材4万人化計画」を掲げ、全社員がデジタル活用人材になれるような育成プログラムを進めています。