1970~1980年代のトライアルブームを支えた、ホンダTLシリーズ──バイアルスTL125からTLM220Rに至る道のり 【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.11】

AI要約

日本におけるトライアルバイクの歴史を紹介。1970年代にトライアルブームが起き、複数のメーカーがトライアルバイクを開発。しかし、数年でブームは終焉を迎え、日本製トライアルバイクが消滅する。

バイアルスTL125とヤマハTY250がトライアルブームの先鞭をつける。スズキやカワサキも参入し、業界が活性化。

しかし、トライアルは難しいとの認識が広まり、一般ライダーには購入対象にならなくなった。日本製トライアルバイクは1980年には消滅。

1970~1980年代のトライアルブームを支えた、ホンダTLシリーズ──バイアルスTL125からTLM220Rに至る道のり 【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.11】

競技志向のライダーや一部の趣味人を除くと、昨今ではなかなか購入対象にはならないトライアルバイク。とはいえ1970~1980年代は、一般的なライダーもこのジャンルに熱い姿勢を注いでいたのだ。

●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●外部リンク:ホンダコレクションホール ※記事内の展示内容はリニューアル前のもの

トッププロのアクションを見たら誰だって感激するはずだし、実際にやってみるとムチャクチャ面白いものの、一般に広く普及しているとは言い難い。近年の日本におけるトライアルは、そういう位置づけだと思う。ただしかつての日本では、多くのライダーが身近なジャンルとして、トライアルに関心を抱いた時代があったのだ。

──バイアルスTL125[1973]:専用設計のセミダブルクレードルフレームにCB/SL125系の4スト単気筒を搭載する、日本初のトライアルバイク。車名はBIKE+TRIALSの略。最高出力は8ps/8000rpmで、乾燥重量は98kg。

日本における最初のトライアルブームは1970年代中盤で、その先鞭をつけたモデルは、1973年1月に登場したホンダ・バイアルスTL125と、同年12月にデビューしたヤマハTY250だった。そしてその2台に続く形で、スズキがRL250、カワサキが250-TX(KT250)を発売し、さらにはホンダがTL50/250、ヤマハがTY50/80/125を追加したことで、業界はイッキに活性化する。

──ヤマハTY250[1973]:ヤマハ初のトライアルバイクとなったTY250は、新規開発のダイヤモンドフレームに既存のDT250をベースとする2スト単気筒エンジンを搭載。最高出力は16.5ps/6000rpmで、乾燥重量は97kg。

ところが、日本の第1期トライアルブームはわずか数年で終焉を迎えた。その理由は定かではないが(トライアルは難しい……という認識が広まったという説はある)、スズキとカワサキは早々にこの分野から撤退し、ホンダTLシリーズとヤマハTYシリーズも1970年代末には販売を中止。市販レーサーや海外仕様の販売は続いていたものの、1980年の時点で、日本で購入できる保安部品付きの日本製トライアルバイクは皆無になっていたのだ。