“タイパ”重視の時代 上司と部下が考える「ムダ」にギャップあり! 真の「生産性アップ」に必要なこととは?

AI要約

上司と部下が考えるムダについて解説。目的より手段にフォーカスすることで期待した成果が出づらくなることも。

具体例や企業での出来事を通じて、ムダとは何かを考えさせる。

最新ツールの導入を待つ時間や効率化のためのデジタル化が必ずしも正解ではないことを指摘。

“タイパ”重視の時代 上司と部下が考える「ムダ」にギャップあり! 真の「生産性アップ」に必要なこととは?

 「やっぱりリアルで集まったほうがいいな」と言う上司は多い。

 しかし、「ようやくコロナが収まったんだから、何もかもリアルで」と言っていると、「そんなムダには付き合っていられない」と反発する人も多いだろう。

 若者だけではない。タイムパフォーマンス(タイパ)を気にする人は、とても増えているからだ。

 一方、なんでもかんでもオンライン、デジタルを使って効率化すればいいかというと、そうでもない。そのほうが「ムダ」なこともあるのだ。

 そこで今回は、上司が考えるムダと部下が考えるムダ。本当のムダと嘘のムダについて解説したい。

■「ムダの法則」を意識しよう

 「目的」よりも「手段」にフォーカスしたために、期待した成果が出づらくなることがある。私はこれを「ムダの法則」と名付けている。

 わかりやすい例を紹介しよう。実際にあった話だ。

 上司からの評価に納得できない若者が、同期の3人と飲みに行き「会社に貢献したくて努力しているつもりだが、なぜか上司にわかってもらえない。どうしたらいいのか」と相談した。

 仲間思いの同期たちは親身になって相談に乗ったが、飲み会が終わるころこう言った。

 「私たちに相談する前に、直接上司に聞いたら?」「上司と仲がいいよね?  どうして上司に相談しないの?」

 若者は「なぜ上司は自分を評価してくれないのか、その理由を知りたい」はずだ。そのためのベストな手段は上司に直接尋ねること。上司とは普段から仲がいい。上司からも「なんでも相談に乗るよ」と言われている。

 なのに、「何となく気が進まない」という理由だけで、3人の同期に相談を持ち掛けている。この一連の動きは誰がどう見ても「ムダ」だ。目的よりも、手段にフォーカスしてしまっている。

 先日もある企業で、「マーケットのデータが集まったから分析してくれ」と社長が指示したのに、「ちょうど来週から分析ツールが導入されることになっているので、そのツールが使えるまで少しお待ちください」と部長が答えていた。

 私は呆れて「あれぐらいの分析なら、エクセルでできますよ」と横やりを入れた。実際にその分析ツールが使えるまでに要する時間は、少なく見積もっても3週間ほどかかる。

 せっかくの最新ツールを使ってみたい気持ちはわかる。しかし社長は、できるだけ早くマーケット分析して販売戦略をスピーディに練り直したいのだ。ツールの導入を待つ時間は「ムダ」でしかない。