アルファ・ロメオ・モントリオールの「未来的」特別感 「純粋」に運転が面白いポルシェ911 S 2.4 (2)

AI要約

アルファ・ロメオ・モントリオールは、近未来的なインテリアと魅力的なエンジンサウンドを持つクラシックカーだ。

優れた乗り心地とスタイリッシュな外観に対し、高速域での操縦性に若干の不安定さを抱える。

1970年代の名車であるモントリオールは、独特の魅力を持ち続けているが、改良の余地もある。

アルファ・ロメオ・モントリオールの「未来的」特別感 「純粋」に運転が面白いポルシェ911 S 2.4 (2)

アルファ・ロメオ・モントリオールは、大胆なスタイリング同様にインテリアも近未来的。大きな2面のメーター内に、複数の補助メーターが一体化されている。

スイッチが整然と並び、ドアやダッシュボード、ステアリングホイールのトリムがエキゾチック感を醸し出す。派手すぎず華やかで、イタリアンな仕上がりだ。

素材は上質で、作り込みも良い。モントリオールに座ると、1970年代の理想的な車内だと納得できる。運転姿勢も自然。コブの並んだシートは座り心地が良く、広い視界が得られる座面高で、NACAダクトの開いたボンネットを程よく見下ろせる。

ポルシェ・マニアの贔屓目でなければ、モントリオールの方がインテリアは特別だと感じるだろう。実際に走り出しても、人間工学の正しさと快適性へ感心できる。唯一、低速域ではステアリングホイールが重すぎる。パワーアシストが恋しくなるほど。

5速マニュアルのシフトレバーはキビキビと動かせ、手応えに充足感がある。市街地を流す程度でも、2.6L V8エンジンのサウンドは美しい。アイドリング時から滑らかに回り、アメリカン・ユニットのようなドロドロという唸りはなく、音の粒が細かい。

排気音は、回転数の上昇とともに聴き応えのある雄叫びへ変化していく。0-96km/h加速は7.5秒で、充分に鋭く洗練されている。

高い速度域でも、モントリオールの乗り心地は落ち着いたまましなやか。路面の凹凸を巧みに吸収してくれる。ステアリングは、徐々に扱いやすい重さへ変化し、フィードバックも濃くなる。やや遊びは大きいけれど。

減速を最小限にしてカーブへ突っ込むと、若干不安定に転じ、アンダーステアも現れる。スーパーカー的なスタイリングと、大きめのボディロールが一致しない。

この頃のアルファ・ロメオ・ジュリアも、優れた操縦性に定評はあったが、同様に横方向の傾きが大きかった。車重がそれよりかさばるモントリオールでは、素早い荷重移動が難しいようだ。

連続するカーブでは、小さくない慣性を実感してしまう。開発には4年が費やされ、生産は1970年から7年間続いたが、最後までこの特性は変わらなかった。

欧州では、サスペンションのチューニング・アイテムが社外メーカーから提供されていた。1973年に起きたオイルショックが、アルファ・ロメオから改良する気持ちを奪ったのかもしれない。

そんなことを思いながらポルシェ911 S 2.4に乗り換えると、見事な身のこなしに感心してしまう。スターターモーターを長めに回し、アクセルペダルを軽く煽りながら、2.4L空冷フラット6は目覚める。

始動直後のノイズは、ガラガラと聞き慣れた空冷サウンド。興奮を誘うものとはいいにくいだろう。