岩本恭生さんが明かす“妻亡き後”の生活 「食費が想像以上に増えて…」育ちざかりの子供2人と過ごす時間で背筋が伸びた

AI要約

夫が妻を失い、手続きや孤独と向き合うことを余儀なくされた著名人の体験談。

妻の死後、経済面での苦労や子供へのサポートに奮闘する姿。

子供と共に過ごす時間が新たな活力を与えることを発見する。

岩本恭生さんが明かす“妻亡き後”の生活 「食費が想像以上に増えて…」育ちざかりの子供2人と過ごす時間で背筋が伸びた

 妻が自分より先に亡くなった──いざパートナーの「死」に直面すると、悲しみに暮れる間もなく膨大な手続きに追われる。そして、訪れる孤独な生活。妻に先立たれた著名人は、最愛の人の死にどう備え、どう乗り越えたのか。かつて『ギルガメッシュないと』で司会を務めたタレントの岩本恭生さん(72)が語った。

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 2014年2月に妻(享年52)を誤嚥性肺炎で亡くしました。その6年前に妻は脳腫瘍を患い、手術後も半身まひの後遺症が残り、私が介護をしてきました。

 当時は介護に必死で、妻に先立たれた際の心構えを何も持っていなかった。没後とくに困ったのは妻任せにしていたお金の管理です。自分で管理するようになって初めて、「こんなスピードで支出が増えるのか」と焦りましたね。

 妻は専業主婦で、スーパーに行くと1週間分の食材をまとめて買っていましたが、僕はそういうのが全くダメでして。その都度買い物に行くので、非効率で無駄な出費ばかりが増えていく。

 子供の教育費も負担になりました。妻が亡くなった当時、長女が中学生、長男が小学生。2人とも名門ではないにせよ、それなりの高校、大学に進学させたので学費だけでなく、学校生活の様々な諸費用が生じるたびに「こんなに高いのか」と驚いたものです。

 食費も減るどころか増えました。育ち盛りの子供たちがいただけでなく、父として子供とコミュニケーションするために、たまにはおいしいものを食べに連れて行こうと外食が増えたからです。妻がどれだけしっかり家計をやりくりしていたか、それがよくわかりました。

 こうして振り返るとお金の苦労はしましたが、「妻がいない分、自分がしっかりしないと」と自然に自分の趣味の出費は後回しになりました。

 それはやはり、子供たちがいたからでしょう。母親がいなくて寂しい思いをさせたうえ私も家を空けることが多いなか、長女はソフトボール部、長男はサッカー部の活動に打ち込み、反抗期もなく本当にいい子に育ってくれました。

 寂しくても一生懸命頑張って成長する長女と長男の姿に、自分の背筋が伸びる思いでした。

 子供と過ごす時間がなければ、妻を亡くした寂しさで生活がすさんでいたかもしれません。

【プロフィール】

岩本恭生(いわもと・きょうせい)/1952年生まれ。ものまねタレント。深夜番組『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)の司会を務めた。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号