歴史的な大暴落で注目された「追証」、その仕組みと発生しやすい銘柄の特徴は? 強制決済を見越した複雑な値動きに注意

AI要約

8月5日に日経平均株価が史上最大の4451円の下落を記録し、追証が発生した。追証とは、信用取引において保証金が不足した際に追加で保証金を求められることを指す。

委託保証金は取引を可能にする担保であり、委託保証金維持率が最低基準を下回ると追証が発生する。また、委託保証金維持率はレバレッジの逆数で計算される。

一般的に証券会社の最低基準は20~25%で設定されており、これを下回ると証券会社から追証が求められる。

歴史的な大暴落で注目された「追証」、その仕組みと発生しやすい銘柄の特徴は? 強制決済を見越した複雑な値動きに注意

 8月5日に日経平均株価は、史上最大幅となる4451円の下落を記録した。その際に、「追証」が大量に発生したといわれているが、追証とはどのようのものか。どのような銘柄がなりやすいのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。

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 2024年8月5日、歴史上最大となる4451円の下落を記録した日経平均株価。その裏では、追証(おいしょう)が発生していた可能性が高いと思われます。そこで本記事では、追証とは何か、追証になりそうな銘柄とはどのようなものか、という観点から解説したいと思います。

 追証(おいしょう)とは、正式には「追加保証金」と呼ばれています(「追加証拠金」とも)。名前の由来は「追加」の「追」と「保証」の「証」から来ています。これは、信用取引を行っているときに、元々設定されていた保証金が足りなくなってしまった場合に発生します。証券会社から「もう少し保証金を増やしてください」というお知らせのようなものだと考えてください。

 委託保証金は、簡単に言うと「担保」のことです。信用取引では少しのお金で大きな金額の取引ができるのが魅力ですが、そのためには証券会社からお金を借りる(信用売りの場合は株を借りる)ことで大きな金額の取引が可能になります。これを可能にするのが委託保証金です。

 当然、予想と逆に動いてしまったら、損失が大きくなるリスクもあります。そうならないように、証券会社は預かるお金や株を担保にして、どれくらいの額まで取引できるかを決めています。

 追証が発生するのは、「委託保証金維持率」が設定された最低基準を下回ったときです。委託保証金維持率とは何かというと、簡単に言うとレバレッジの逆数のことです。

 株式投資で最も高いレバレッジは3.3倍です。これは、100万円の保証金があれば330万円分までの取引ができるということを意味します。

 この関係を逆に見ると、委託保証金維持率が計算できます。証券会社が投資家に330万円を貸していて、その担保として100万円があった場合、この割合が委証金維持率となり、計算結果は30%になります。

 証券会社によって維持率の最低基準は異なりますが、一般的には20~25%の範囲で設定されています。この最低基準を下回ると、証券会社は追証を求めることになります。