中国の銀行融資が19年ぶりに減少、「バランスシート不況」懸念強まる

AI要約

中国が19年ぶりに銀行融資を縮小し、バランスシート不況への懸念が高まっている。

企業や家計が債務返済を優先し、消費や投資が慎重になっている状況下で、中国経済は厳しい状況に直面している。

現在の中国の状況は日本の失われた30年とは違うが、バランスシート不況というリスクは依然存在している。

中国の銀行融資が19年ぶりに減少、「バランスシート不況」懸念強まる

(ブルームバーグ): 実体経済への中国の銀行融資が先月に19年ぶりに縮小したことで、同国がかつての日本のような「バランスシート不況」に突き進んでいるとの懸念が広がっている。

中国の銀行融資の減少は2005年7月以来。企業の新規借り入れが急減したほか、家計が債務返済を優先した。不動産不況で打撃を受けた家計と企業が住宅購入や投資拡大に慎重になる中、長年にわたる弱い与信需要との闘いが深刻化している。

不動産市場の崩壊を受け、消費者や企業が債務返済を決断したことは、1990年代に数十年にわたるデフレに陥った日本の特徴とみられている。

エコノミストらは以前から、中国が同様の「バランスシート不況」に直面しているかどうかを議論してきた。これは野村総合研究所のチーフエコノミスト、リチャード・クー氏が日本の「失われた30年」を説明するために使った理論だ。資産価格下落に動揺した家計や企業が債務返済に集中し、消費を控えたと同氏は考えている。

ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏(香港在勤)は、中国の現状は日本の苦境とは明らかに異なるが、「バランスシート不況」は依然として現実的なリスクだとの見方を示した。

同氏は「悲観的見方が広まりつつある懸念すべき兆候が既に若干みられる」とし、「こうした考え方が過度に定着する前に、資産価格を安定させることが引き続き極めて重要だ」と指摘した。

他の経済指標も、今年に入り景気の下押し要因となっている内需の悪化を示唆している。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア消費者物価指数(CPI)は7月に0.4%上昇と、1月以来の小さい伸びにとどまった。国内総生産(GDP)デフレーターは5四半期連続でマイナスと、1999年以来の長期下落局面に入っている。

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原題:China’s Loan Drop Stokes Fears of ‘Balance Sheet’ Recession (1) (抜粋)