米家計の現金保有が縮小、個人消費に影響の恐れ=SF連銀報告書

AI要約

米国の中低所得世帯の流動性資産が減少し、消費に影響が出る可能性があるとの報告が出た。

高所得世帯では資金が急増したが、中低所得世帯では増加が鈍く、クレジットカードの延滞が増加している。

エコノミストらは所得分布の下位8割の世帯がリスクにさらされており、将来の消費支出に悪影響を及ぼす可能性があると指摘している。

米家計の現金保有が縮小、個人消費に影響の恐れ=SF連銀報告書

Ann Saphir

[12日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀が12日公表した報告書によると、米国の中低所得世帯が保有する銀行預金などの流動性資産は、コロナ渦前と比べて大幅に減少しており、個人消費に影響する恐れがある。

所得上位2割の世帯では、現金や貯蓄、当座預金、マネーマーケット口座の資金などが2020年から21年初頭にかけて急増した。その後徐々に減少し、現在はコロナ渦がなかった場合の想定を約2%下回っている。

一方、残りの世帯では、流動性資産の増加はそれほど急激ではなく、余剰資産はより早く枯渇しており、現在はコロナ渦前の予測よりも約13%低くなっている。同時に、これらの中低所得世帯のクレジットカードの延滞は、高所得世帯よりも急速に増加したという。

エコノミストらは「所得分布の下位8割の世帯で余裕が無くなり、信用が高まっており、将来の消費支出の伸びにリスクをもたらす可能性がある」と指摘した。

米経済生産の約3分の2を占める個人消費と労働市場は、米連邦準備理事会(FRB)の22─23年の利上げ局面でも予想外に堅調に推移し、政策当局者の間で米経済がソフトランディング(軟着陸)を実現するとの期待が高まった。