廃線跡を"財産"に変えた駅……公共交通はどうなった? ~JR留萌本線と増毛駅~

AI要約

映画「駅 STATION」の舞台である増毛には国鉄留萌本線の終着点があり、劇中でも印象的に描かれていた。

留萌本線は道央・空知地方を結ぶローカル線で、特に留萌~増毛間は海沿いの景色が美しい区間だった。

JR北海道が路線廃止を進め、留萌本線の一部が廃止されるなど、ローカル線の衰退が進んでいる。

廃線跡を

 1981年に公開された、高倉健さん主演の映画「駅 STATION」。この作品の主な舞台になったのが、日本海に面する道北・留萌地方の港町、増毛(ましけ)である。

文・写真:中山修一

(JR留萌本線とその後の写真-全14枚-付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

 映画の題名が「駅 STATION」の通り、増毛には国鉄留萌本線の「増毛駅」があり、これ以上レールが続かない、深みのある旅情を感じさせる本当の終着点だった同駅とその周辺が、劇中でも印象的に描かれている。

 のちにJRへと引き継がれた留萌本線は、道央・空知地方の深川と、留萌を経由して増毛を結ぶ、延長66.8kmの路線だ。

 普段は1両編成のディーゼルカーがのんびり走る、お手本のようなローカル線で、とりわけ留萌~増毛間はレールが海沿いに出るため、留萌本線の中でも景色のよい区間だった。

 とはいえ景色の良さと利用者の数は比例しないようで、2010年頃を振り返ると、席が全部埋まるくらいまで乗っていた車内も、留萌に着くと殆どの人が降りていき、最終的には車両まるごと貸切、「そして誰もいなくなった」はローカル線の日常でもある。

 増毛に到着して、運転士さんに当時まだ取り扱いのあった周遊きっぷを見せると、「兄ちゃんこれの折り返し乗ってくでしょ?」と聞かれ、増毛で泊まっていく旨を伝えたら、「マニアさんですぐ帰らないの珍しいねぇ!!」と言われたのも今や懐かしい。

 その後、JR北海道が大規模な路線廃止に着手し始めると、留萌本線が案の定取り沙汰され、最も利用率が低いと言われた留萌~増毛間16.7kmが先行して、2016年12月に廃止されてしまった。

 2023年4月には、石狩沼田~留萌間35.7kmも役目を終え、そこそこ長い距離のあった留萌本線も、2024年現在は深川~石狩沼田間14.4kmを残すだけになっている。「本線」と名のつくJRの路線では日本一短いのだとか。