令和ちょい前に開通した最新の「酷道」 さすがにマトモでしょ…?→「あの世に一番近い道」でした

AI要約

福井市から石川県小松市を結ぶ国道416号は、長らく車両通行不能区間で知られていたが、2018年に開通した。

福井側は穏やかな田舎道だが、新俣峠を越えると急勾配の道や樹海の中を通る道など、酷道として知られる道が待ち受ける。

急勾配の道や狭く曲がりくねった樹海の中を苦労しながら通過し、ようやく国道416号を抜けることができた。

令和ちょい前に開通した最新の「酷道」 さすがにマトモでしょ…?→「あの世に一番近い道」でした

 福井市を起点に、内陸の勝山市を経て山間部を北上し、石川県小松市に抜ける国道416号。このうち福井・石川県境の6.4kmは長らく「車両通行不能区間」でしたが、2018年に開通し、地元の人のみならず全国の道路ファンを驚かせました。

 

 というのも、この416号は以前から、酷い状態の国道、いわゆる「酷道」として知られていたからです。

 今回、筆者は福井市から国道416号を勝山市へと走り、山越えにトライしてみました。酷道と評されるものの、福井市の平野部の国道416号は何の不便もない舗装路でした。途中には日帰り温泉施設などもあり、穏やかな田舎道です。

 しかし、勝山市の有名スポット「福井県立恐竜博物館」を右手に見たあたりから、少しずつ緩やかな坂道となり、やがて人影や民家の数が減っていき、さらに進むと中央線もなくなり、気づけばクルマがすれ違うことができないほどの狭い、つづら折りの道に入っていました。

 ただし、カーブごとにミラーが設置されていることと、天気の良い日中は日差しが差すことから、さほど危険な道には感じませんでした。しかし、ここはまだ“酷道”の入口であったことを、この後すぐに実感することとなりました。

 福井県側はまだ牧歌的な印象でしたが、山を登り切った「新俣峠」の先を見て愕然。ここからが石川県エリアになるわけですが、道路の先が見えないことに加え、上では怪しげな雲が付近を覆っています。

「まるであの世に行くようだ」と思う筆者でしたが、「あの世感」は、その先でさらに強く感じることになろうとは、このときはまだ想像できませんでした。

 新俣峠を抜け石川県エリアに入ると、いきなりの急勾配に。道路脇には、かまぼこ状の駒止がありますが、この下はすぐに崖です。しかも、道路全体にバンクがかかっていました。試しにクルマを降りて確認してみましたが、うまく歩くことができないレベルです。

 這うようにクルマに戻り、再びハンドルを握りましたが、この急勾配の道もクルマがすれ違うことができないほどの激セマ幅。まさに手に汗を握りながら、20km/hほどのスピードで何とか急勾配区間を抜けることができました。

 激セマのバンクを乗り越え、「あの世」から生還した気分もつかの間、今度は鬱蒼とした森の中へ。まさに「樹海」と言って良い光もまばらな暗い道で、ここからもまた「あの世」感。もちろん、この樹海の道も幅が狭くクルマがすれ違うことはできません。

 前方からクルマが来ないことを祈りながら、ここでも20km/hほどでなんとか前進すると、こういうときに限って前からクルマがやってきます。仕方なく比較的広い場所までバックし、前方のクルマを通すも、特に挨拶やお礼はナシでした。ドライバーはこの酷道を安全に通り過ぎることだけで頭はイッパイ。他人の義理や情けに期待してはいけないのかもしれません。

 さらに樹海道をゆっくり進み続けると、数キロに1か所ほどのペースで「国道416」の標識が立っていることに気づきました。

 樹海をさまようドライバーに対し「間違いなく416号です」と示してくれているのと同時に、「ひどい道だと思うだろ? でもここはれっきとした国道だ!」というプライドのようなものを感じました。

 福井県側を出発したのが午後だったため、なんとか日が落ちないうちに国道416号を抜けたいという気持ちもあり、17時を過ぎたところで、少しスピードをあげ前進しました。すると、2車線に入ったと思ったらすぐ1車線に戻る――これを何度か繰り返すこととなり、さすがは酷道と唸らずにはいられませんでした。その後、いよいよ本当に2車線となり、道路にも光が差し始め樹海から抜けることができました。