【虫歯治療の実情】健康な歯を削られて高額治療に誘導されないために知っておきたい4つのポイント

AI要約

銀歯による虫歯治療が実は虫歯のリスクを増大させていることが明らかになった。

レジンの利用が一般化している中、大きな虫歯でもレジン治療が可能であることが指摘されている。

高額なセラミックやジルコニアよりも、素材によっては硬すぎる治療法が逆に問題を引き起こす可能性がある。

【虫歯治療の実情】健康な歯を削られて高額治療に誘導されないために知っておきたい4つのポイント

 一度、失ってしまったら自力では再生できない「歯」。だからこそ定期的なケアや治療が大切だが、中には杜撰な歯科治療をする悪質な歯科医も存在する。『やってはいけない歯科治療』の著者で、“歯科業界に最も嫌われるジャーナリスト”の異名を持つ岩澤倫彦氏(ジャーナリスト)が、虫歯治療についてレポートする。

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 中高年世代の多くが受けた「銀歯」による虫歯治療。長い時を経て、銀歯そのものが虫歯のリスクになっている。別掲の画像は、銀歯のインレー(詰め物)を外した場面だ。その下には、大きな虫歯が広がっていた。神経に感染が及んでいなかったので、虫歯部分だけを除去、コンポジット・レジンで治療している。う蝕(虫歯)治療の世界的な権威である東京医科歯科大・前副学長の田上順次氏(現・クオーツデンタルクリニック院長)は次のように解説する。

「銀歯やセラミックなどは、型を取って歯に装着するので、『間接法』と呼ばれます。ある程度の大きさが必要なので、虫歯の範囲が小さくても健康な歯質まで削る範囲を広げなくてはなりません。『直接法』のレジンは、虫歯部分だけを削って直接ペーストを詰めて接着させ、光を当てて固めます。そのため、隙間なく仕上がるのです。歯を削る量を最小限に抑えた治療は、ミニマル・インターベンション(MI)と呼ばれて、世界標準となっています」

 銀歯やセラミックなどの「間接法」は、歯を削る量がレジンの最大5倍と言われている。こうした「虫歯治療の罠」を患者が見抜くためのポイントを見ていく。

 現在は、虫歯治療にレジンが普通に使用されるようになった。それでも荷重がかかる奥歯や大きな虫歯にレジンは使えないと言う歯科医は多い。壊れやすく、耐久性が低いという理由だ。そして、頑丈な自費のセラミックやジルコニアを患者に提案する。しかし、これは大きな誤解だと田上氏は指摘する。

「実験室でレジンを曲げて壊れる強度を調べても、天然の歯と遜色ありません。荷重でレジンが壊れたとしても、簡単に修復できます。

 奥歯に高額なセラミックやジルコニアを勧める歯科医が多いですが、対合歯(上下の噛み合わせる歯)が天然の歯なら、硬すぎます。特にジルコニアは頑丈で半永久的な耐久性がありますが、硬すぎて対合歯が破折したケースもみられます。ですので、天然の歯よりも硬すぎる素材を使うのはお勧めしていません」

 銀歯を外してレジンの治療を行なった左の画像も、強い荷重がかかる大臼歯だが、全く問題はないという。