「子持ち様へのバッシング」かつて経験した私が思うこと 男性の育休取得率3割到達の陰で生じる歪みの正体

AI要約

厚生労働省によると、男性の育休取得率が30.1%に達し、過去最高を記録した。18~25歳の男性の84%が将来的に育休を取得したいと考えており、男性の育休活用が増加している。

過去10年で男性の育休取得率は15倍に増加しており、日本でも男性が育児をする姿が一般的になりつつある。しかし、取得日数が短期間であるケースが多く、育休後も育児に参画する課題が残っている。

政府は男性育休取得率の引き上げを目指しており、2025年度には50%、2030年度には85%を目標としている。育休制度の周知と男性への育休取得意向の確認が急増に影響している。

「子持ち様へのバッシング」かつて経験した私が思うこと 男性の育休取得率3割到達の陰で生じる歪みの正体

 育児休業を取得した民間企業に勤務する男性の割合(2023年度)が、初めて3割を超えたことが厚生労働省の発表で明らかになりました。

 前年度(17.13%)と比べ13ポイント上昇し、過去最高の30.1%となったことに加え、18~25歳の男性を対象にした調査では、84%が将来的に育休の取得を望んでいることも分かりました。より多くの男性が、世界に冠たる育休制度を活用するのは、とにかく明るい兆しです。

■男性の育休取得率は「過去最高」になったが…

 約10年前、大手メディアの政治部記者だった筆者は約1年間の“男性育休”を取得しましたが、当時は周囲から奇異の目で見られたものです。それもそのはず、当時、日本における男性の育休取得率はわずか2%台しかありませんでした。その頃と比べると、単純に15倍の男性が取得している計算になるわけですから、まさに隔世の感です。平日の朝晩や休日に、ベビーカーや抱っこひもを使って、子どもと一緒に街を歩く男性を見かけるのは、もはや珍しいことではありません。

 ただ、過去最高の取得率を手放しで喜んでいられないのも実情です。取得日数は増加傾向とはいえ、1カ月未満の人が6割近くを占めます。“あらゆる事情”で、短期間の取得にせざるをえなかった、もしくは「形式的に取っただけ」人もそれなりに存在しそうです。

 政府が男性育休を促す、そもそもの目的は「育休取得後も男性が育児に参画し、仕事と両立しながら分担する」ことであり、異例のスピードで進む少子化に歯止めをかけることです。

 若い男性たちに強い取得意欲が見られ、いい流れを迎えた今だからこそ、その先を見据えた課題について、考えてみたいと思います。

 政府は、男性育休取得率の目標として、2025年度に50%、2030年度には85%への引き上げを掲げています。2020年度に初めて10%台に乗ってからは、右肩上がりで伸びています。

 厚労省は今回の急増理由について、育休制度の周知と育休取得の意向を確認する制度を2022年春から企業に義務付けたためと分析しています。取得を義務化するのではなく、取るかどうかを男性に尋ねることを義務化したわけです。