なぜ「ドミノ・ピザ」は後発でも拡大できたのか…「ありふれた」商品に違う光を当てて復活させる驚きの方法

AI要約

起業家のポール・ホーケンさんは、既存ビジネスに後発で参入する際には、顧客視点から商品やビジネスの仕組みを徹底的に観察し、改善点のリストを作成して実行することが重要である。

ユニバーシィ・ナショナル・バンク(UNB)を例に挙げた場合、行き届いたサービス提供や高い信用獲得のための条件付き口座開設、個別対応やサービスの徹底、顧客との信頼関係の構築など、顧客目線で考え抜かれた銀行業務が成功を収めている。

UNBの取り組みから、一度の洗礼を受けて成功を収めると高い信用を勝ち取ることができること、行員と顧客の親交やリピーター創出の重要性、従業員の定着率向上など、企業活動全体において継続的な改善と顧客重視の姿勢が重要であることが示唆されている。

既存ビジネスに後発で参入して成功するにはどうすればいいか。起業家のポール・ホーケンさんは「あなたがビジネスを始めるならOKラインを上げる人になるべきであって、後から追いかける人になってはいけない。顧客の観点から、商品やビジネスの仕組みを念入りに観察し、『この点は改善できる』と思うリストをすべて書き出して実行するといい」という――。

 ※本稿は、ポール・ホーケン『ビジネスを育てる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■次にやるべきビジネスが「銀行」である理由

 ある取材で、「次やるとすればどんなビジネスを?」と聞かれたので、「銀行」と答えた。

 あなたがどう思っているかわからないが、少なくともぼくは、行き届いたサービスを提供してくれる大きな銀行を知らない。同じ窓口担当が3カ月以上いた試しがないし、心の底からぼくのことを信用してくれる銀行マンにお目にかかったことがない。

 7年前、カール・シュミットはユニバーシィティ・ナショナル・バンク(UNB)をパロアルトで開業した。

 UNBで口座を開くためには、すでに口座を持っている顧客からの推薦が条件だ。あるいは、徹底的な信用調査を受ける必要がある。ただし、一回この洗礼を受けて口座を開設したのちは、高い信用を勝ち取ることができる。

 通常、銀行から電話がくるのは小切手が不渡りを出してしまったときくらいだが、UNBはこまめに連絡をしてくれる。行内のテーブルの上にあるペンは鎖でつながっていない。ロビーでは無料の靴磨きサービスが受けられるし、トイレは快適。

 夏にはワラワラスイートオニオンと呼ばれる、辛味がまったくなく、とっても甘くてジューシーな玉ねぎが配られる。もちろん、無料だ。

 時期がきたら「玉ねぎが届いてますよー」と電話連絡が入る。行員は顧客の顔と名前を覚えている。顧客は顧客で時に行員にちょっとしたプレゼントをあげたり、何かと相談に乗ってもらっている。離職率はごくわずかだ。