ランボルギーニ社公認の“ワケあり”リアルオフローダーの正体とは? 名車「LM002」をシューティングブレイク化!? オーダーしたのは誰か?

AI要約

スウェーデンの中古車販売店が、ランボルギーニの珍しい「LM002」シューティングブレイクの写真を公開し話題に。

「LM002」はブルネイ国王の愛車であり、7000台以上の車を所有する彼のユニークなコレクションの一部。

今回入庫した「LM002」はランボルギーニ社が唯一公認したシューティングブレイクモデルで、レストアの過程でタイヤ調達に難儀している。

ランボルギーニ社公認の“ワケあり”リアルオフローダーの正体とは? 名車「LM002」をシューティングブレイク化!? オーダーしたのは誰か?

 スウェーデンの中古車販売店が、ネット上にランボルギーニのリアルオフローダー「LM002」の写真を公開。一部で話題を集めています。

 というのも、この当該車両、なんと市販モデルにはないシューティングブレイク(ワゴン)化された1台なのです。果たしてどのような経緯で仕立てられたモデルなのでしょうか?

 ランボルギーニのリアルオフローダー「LM002」は、そもそも300台程度しか生産されていない貴重なモデルです。

 そんな「LM002」が、スウェーデンの中古車販売店・Motikonに入庫したことを同店がネット上に公開しています。しかもそれはただの「LM002」ではなく、なんと市販モデルには存在しないシューティングブレイク。Motikonは、この「LM002」は販売用の車両ではなく、今後、ゆっくりと時間をかけて整備していくとしています。

 この“ワケあり”な「LM002」、どうやらブルネイのハサナル・ボルキア国王がかつて所有していた車両のようです。

 ブルネイは東南アジアで最も裕福な国とされています。個人の所得税や消費税の類はなく、ブルネイ国民であれば医療費や教育費は無料です。

 こうした豊かさの原動力となっているのが、原油や天然ガスなどの天然資源。それもあってか、ボルキア国王に関する大富豪エピソードが多数残されています。

 その一例が、ホテルでのエピソード。現地のフォーシーズンズホテルに5泊したボルキア国王は、ホテルのサービスにとても満足し、出発の際、国王はスタッフを通じてホテルの支配人にボストンバッグを手渡したそうです。その中身は、1700枚もの100ドル札。「ありがとう。これはささやかな感謝の印です」と書かれたメモが添えられていたそうです。

 また、ロンドンの名門ホテルであるザ・ドーチェスターにおいて、理髪店を大いに気に入ったボルキア国王。以降、理容師をわざわざブルネイまで呼び寄せ、散髪をおこなっているそうです。ファーストクラスの航空券やホテル宿泊代などを勘案すると、その散髪代は1回当たり2万ドル(293万円)! しかも、3~4週間に一度は呼び寄せるといいますから豪快です。

 そんな大富豪だけに、ボルキア国王の愛車コレクションは実に多彩。世界中に点在しており、その合計は7000台を超えるといわれています。

 これまでも、ボルキア国王やブルネイ王族の元愛車を中古車市場で見ることがありましたが、それはそれはユニークなモノばかり。というのも、差別化を図るためなのか、ワンオフモデルが多いのです。

 パッと思い浮かぶだけでも、ベントレー「ターボR」のシューティングブレイク、ベントレーに依頼してつくったランドローバー「レンジローバー」ベースのSUV、フェラーリ「456 シューティングブレイク」、フェラーリ「テスタロッサ」のコンバーチブル、フェラーリ「F40」の右ハンドル車などが挙がります。

 これらの華麗なコレクションは、ブルネイ王室の裕福さを世に知らしめることになったのでした。

●レストアの悩みはタイヤの調達!?

 今回、スウェーデンの中古車販売店・Motikonに入庫した「LM002」のシューティングブレイクは、1960年代にビッザリーニの工場長だったサルバトーレ・デォマンテ氏が手がけたもの。ランボルギーニ社が唯一“公認”した車両だそうです。

 シューティングブレイク化に伴い、助手席3つとベンチ3つが備わっており、車内は広々としています。車両重量は約500kg増加したといわれていますから、そもそも極悪な燃費で有名な「LM002」だけに、戦車並みの数値となっていることでしょう。もっとも、燃費を気にするような方が乗るようなクルマではありませんが……。

 ボルキア国王が所有していた間、約1100マイルを走破。その後、BMWやフォルクスワーゲンなどでCEO(最高経営責任者)を務めたベルント・ピシェッツリーダー氏が購入したそうです。

 ピシェッツリーダー氏といえば、BMW社が所有していたマクラーレン「F1」で事故を起こして話題になったことがありました。ちなみに、オリジナルのミニを設計したアレック・イシゴニス卿とは、はとこの間柄だといいます。

 ボルキア国王が手がけた「LM002」のシューティングブレイクを購入なさるとは、ピシェッツリーダー氏、我々の想像を上回るクルマ好きなんでしょうね。

 ピシェッツリーダー氏が手放した後のオーナーについては、“スウェーデン人女性”であること以外、名前など明らかにされていませんが、なんとこのクルマを子どもさんの送り迎えを始め、日常の足として乗り回していたそうです。なんとも豪快な人ですね。

 今後もMotikonでは、「LM002」シューティングブレイクのレストアを進めていくそうです。ただし、タイヤの調達に難儀するなど、課題も多いのだとか。タイヤは現状、世界に市場に1セットしか出回っておらず、おまけに4本で5万ドル(約733万円)以上の見積もりが届いているそうです。

 レストアが完成した暁には、Motikonで販売されるか、クラシックカーのオークションに出品されることでしょう。ランボルギーニ公認の「LM002」シューティングブレイクにいくらの価値が見出されるのか、気になるところです。