1990年代、お洒落な若者のライフスタイルに提案! 3代目トヨタ「カローラII」とは
カローラIIはカローラよりも小型で、ターセル/コルサ兄弟と共通点が多いが、カローラの名を持つことで信頼感を高め販売を後押しした。
若い女性をターゲットにしたカローラIIは、父親が娘に贈るカローラであることで安心感を生み出し、価格面でも人気を博した。
3代目カローラIIは、颯爽とした女性をイメージし、CMも大ヒットした。
カローラIIが爆発的にピットしたのは、クルマとしてのそつのない完成度の高さとともに、そのコンセプトが秀逸だったからだと確信しています。特にそのネーミングが、販売を強烈に後押ししたのではないかと思っているのです。
というのも、カローラIIはカローラよりもコンパクトなターセル/コルサ兄弟とほぼ共通です。パワーユニットやプラットフォームも流用しています。本体のカローラよりも小型ですから、ターセル/コルサ/カローラIIの三兄弟といってもいいはずのコンパクトハッチバックなのですが、不思議なことにターセル/コルサ兄弟とは別でありますよといいだけに、カローラ名を名乗っていたのです。
当時のトヨタ販売担当者の裏コメントが記憶に深く刻まれています。
「中身はターセルやコルサと共通ですが、カローラの名を与えることで絶大なる信頼感が生まれるのです」
カローラIIの販売は当時、主に若い女性がターゲットでした。自動車免許証を取得したばかりの女性がターゲットです。買い与えるのは父親です。父親が娘に買い与えるクルマがカローラであることに、ことさら安心感を覚えるというのです。そう、カローラであることで父親の財布が緩むというのです。
しかも、価格はターセル/コルサとほとんど変わりがないのに、カローラですが人クラス上に感じます。ややギミックのようなテクニックですが、さすがに販売のトヨタと唸られるものがありました。
いやはや、そのコメントを耳にしたときに、ブランディングの高度な技を見せつけられた思いでした。実際には完成度の高いモデルでしたから、結果的にヒット作にはなったのであろうと予想しますが、なるほどネーミングの勝利ですね。トヨタの販売戦略の巧みさに感心した記憶があるのです。
そんなカローラIIですが、今回紹介する3代目カローラIIのキャッチフレーズも秀逸でした
「ごめんあっさせ。私の、新型カローラII誕生」
颯爽とクルマを運転して街を闊歩する女性をイメージしていました。
CMも大ヒットしました。当時若い女性に人気だった小沢健二が歌う「カローラIIにのって」が耳に残っています。