「アルファードにランクル」と高額なクルマが街に溢れているのは「残価設定ローン」のおかげ! いまお得に買えるクルマとは?

AI要約

残価設定ローンの人気が高まっている。契約時に残価を設定し、金額を分割返済することで月々の返済額を抑えている。

残価設定ローンは販売会社にとってもメリットがあり、新車の販売促進にもつながっている。

車種ごとに残価率が異なり、中古車市場における車両の価値にも影響を与えている。

「アルファードにランクル」と高額なクルマが街に溢れているのは「残価設定ローン」のおかげ! いまお得に買えるクルマとは?

 いまはクルマの買い方として、残価設定ローンの人気が高い。契約時に数年後の残価(残存価値)を設定して、それを除いた金額を分割返済する。返済期間を終えても車両は自分の所有にならないが、月々の返済額は安く抑えられる。

 そして返済を終えたときには、車両の返却/残価を支払って車両を買い取る/改めてローンを組んで車両を買い取るまで分割返済を続ける、という3つの方法を選べることが多い。

 いまはローンの大半が残価設定になり、車両の買い取りを前提にしたフルローンの利用者は少ない。月々の返済額の安さに魅力があるからだ。

 また、販売会社にとっても、残価設定ローンはメリットが大きい。返済期間を終えた時点で、車両を返却して別の新車で残価設定ローンを組むことを提案できるからだ。そうなれば新車の売れ行きが増えて、素性のわかった上質な下取り車も入り、中古車販売部門も活性化する。そのために残価設定ローンは、独自の低金利を設定するなど、積極的に推奨している。

 残価設定ローンの残価は、見積書などには「最終回支払い額」として記載され、買い取るにはこの金額を支払う。しかし、車両を返却するなら支払う必要はない。つまり、残価となる最終回支払い額が高ければ、月々の返済額は減り、高価格車でも割高感が解消されてユーザーは契約しやすくなる。

 一般的な残価率(新車価格に占める残価の割合)をトヨタ・ヤリスで見ると、3年後が41%、4年後は33%、5年後は26%だ。ユーザーの支払額は、3年契約なら41%の残価を差し引いて車両価格の59%になる。4年契約なら車両価格の67%を支払う。5年後なら残価が26%だから支払い額は74%だ。

 それがトヨタ・アルファードになると、3年後の残価率が67%と高く、3年間で車両価格の33%を支払えばいい。4年後の残価は60%だから車両価格の40%を支払う。5年後でも53%だから、車両価格の47%を支払えば済む。

 トヨタ・ランドクルーザー250も残価率が高い。3年後で66%、4年後で60%、5年後は55%だ。ランドクルーザー250のような悪路向けのSUVは、フルモデルチェンジの周期が長いこともあり、発売から長い期間を経過しても中古車の流通価値が下がりにくい。その影響もあり、5年後でも55%という高い残価率を保っている。

 注目されるのは三菱トライトンだ。アルファードやランドクルーザーに比べると知名度が低く、ピックアップトラックだから中古車になったときの価値も予想しにくいが残価率は高い。3年後が59%、4年後は58%、5年後は55%だ。3年後の59%は、アルファードの67%やランドクルーザー250の66%に比べて低いが、4年後も58%、5年後でも55%だから時間が経過しても残価率はほとんど下がらない。

 ここに残価設定ローンを利用した販売戦略がある。アルファードやランドクルーザー250は、価格の高い人気車だから中古車の購入を希望するユーザーも多く、中古車価格が高まるために残価率も高く設定した。そして残価率も中古車の価値に沿って、3年後では60%台、5年後なら50%台と差が生じる。

 ところがトライトンは、ピックアップトラックでは価格が高く、売れ筋のGSRは540万1000円に達する。この価格は同じ三菱のアウトランダー並みだ。アウトランダーは4輪を前後独立式のモーターで駆動するプラグインハイブリッドを備えるため、機能や装備と価格のバランスで見るとトライトンは割高になる。

 そこでトライトンでは割高感を補うため、残価設定ローンの残価率を敢えて高めた。契約期間が5年間のコースは利用者がとくに多いため、残価率を55%まで引き上げた。そのために3年後の59%と比べてあまり差が付かない。トライトンの商品企画担当者は「トライトンは価格が高く感じられるが、残価設定ローンを使っていただくと、月々の支払額が意外に安くなって購入しやすい。そこが狙いだ」と述べた。