バイト代から税金が「天引き」されています。親から「働きすぎると税金が高くなるよ」と言われました。さらに手取りが減るのでしょうか?
大学生のアルバイト代にかかる税金や親の負担について解説。
所得税や住民税の計算方法や適用条件を紹介。
年収103万円や130万円を超えると税金や社会保険料が発生する可能性あり。
大学生のアルバイト代が103万円や130万円を超えると、税金がかかり手取り額が減少する可能性があります。また、本人だけでなく、親の税負担も増えることがあるため、注意が必要です。
本記事では、大学生のアルバイト代に関わる税金や課税される年収額について詳しく解説します。特にアルバイトを始める予定の大学生は、ぜひ参考にしてください。
大学生のアルバイト代には、所得税や住民税がかかる場合があります。
各税金の税率や計算方法を理解すれば、事前に税額や手取り額を把握することが可能です。また、これらの税金は会社員の給与や個人事業主の所得にも適用されるため、大学卒業後にも役立つでしょう。
本項では、所得税や住民税の税率や計算方法について紹介します。
◆所得税
所得税は会社の給料やアルバイト代にかかる税金です。所得税の計算方法は、以下のとおりです。
・課税所得額×税率=所得税額
※課税所得額は所得から控除を差し引いた金額
※所得は収入から経費を差し引いた金額
所得税率は、課税所得額に応じて変動します。詳細は、図表1のとおりです。
※国税庁「所得税の税率」をもとに筆者が作成
例えば、課税所得額が50万円の場合、所得税額は「50万円×5%=2万5000円」となります。
◆住民税
住民税は地方税の一種で、福祉、教育、消防、救急など地域の公共サービスをまかなうために徴収される税金です。住民税額は、所得割と均等割を合計して算出されます。それぞれの税率や負担額は、図表2のとおりです。
※東京都主税局「個人住民税」を参考に筆者が作成
※2024年から森林環境税(1人年額1000円)が追加されています。
※均等割は地域によって異なる場合があります。
所得割は、「課税所得額×税率-税額控除」によって計算され、これに均等割を加えることで住民税額が算出されます。
大学生の年収が103万円を超えると、所得税が発生します(103万円の壁)。この103万円は、給与所得控除の55万円と基礎控除の48万円を合計した金額です。
また、年収が103万円を超えると親の扶養から外れ、親は扶養控除(最大63万円)を受けられなくなります。そのため、親の税負担が増える可能性がある点には注意が必要です。
◆要件を満たす場合は勤労学生控除が適用される
「所得額が75万円以下で給与以外の所得が10万円以下」「働いて得た所得(給与所得など)がある」などの要件を満たす場合、勤労学生控除が適用されます。
勤労学生控除の控除額は27万円です。適用される場合には、基礎控除や給与所得控除と合わせた控除額が130万円となるため、年間収入が130万円以下であれば所得税はかかりません。
◆年収130万円以上は社会保険料が自己負担になる
年収が130万円を超えると、勤労学生控除の適用がなくなり親の扶養から外れます。その結果、国民年金や国民健康保険料の支払いが発生します(130万円の壁)。
自分で年金や保険料を納める必要があり、手取り額が大幅に減る可能性がある点をおさえておきましょう。
大学生のアルバイト代が年間103万円や130万円を超えると、税金や国民健康保険料などの支払いが発生する可能性があります。源泉徴収により所得税が給料から天引きされるため、手取り額が減少します。
また、親の税負担も増える可能性があるため、注意が必要です。家族の負担や家計にも影響するため、アルバイトをする際は収入の範囲を事前に家族と話し合うことをおすすめします。
出典
国税庁 所得税の税率
国税庁 所得税のしくみ
東京都主税局 個人住民税
国税庁 給与所得控除
国税庁 基礎控除
国税庁 扶養控除
国税庁 勤労学生控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー