USJが破格待遇でクルー募集!祝い金や引っ越し費用、家賃補助の税金はどうなる?税理士が解説

AI要約

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がアルバイトの待遇を破格にするために祝い金や家賃補助を提供している

手当における税金面について蝦名和広税理士が解説

家賃補助と借り上げ社宅の税金・社会保険の違いを説明

USJが破格待遇でクルー募集!祝い金や引っ越し費用、家賃補助の税金はどうなる?税理士が解説

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営する合同会社ユー・エス・ジェイ(大阪市)は、クルーと呼ばれるアルバイトを確保するため、破格の待遇で人材募集をしている。

関西以外からの採用には、働き始めた翌月に5万円、翌々月に5万円を「祝い金」として支給する。また大阪への引っ越し代や、住居の下見費用(往復交通費)、敷金・礼金、家賃補助も支給するという。

仕事内容に興味はあっても、距離が遠いので諦めていた人にとってはありがたいシステムだが、このような手当における税金面はどうなるのか。蝦名和広税理士に聞いた。

● 家賃補助は課税所得、転居費用等は「通常必要」と認められれば非課税に

ーー採用祝い金や引越し費用、家賃補助などの手当は、一般的に課税の対象になるのでしょうか?

「従業員が会社から受け取る給与や手当は総称で『給与所得』と呼ばれ、所得税が課税される『課税所得』、課税されない『非課税所得』に分けられます。

何が課税所得と非課税所得に該当するかは法律・法令等で決まっていて、たとえば家賃補助は『課税所得』とされています(国税庁タックスアンサーNo.2508)。

転居に要した費用は『通常必要と認められるもの』であれば課税はされません。お祝い金は支度金としての性質もあるため、転居費用として認められる部分は非課税、そうでない部分は課税となります。『通常必要と認められるもの』の範囲は個別に判断されるため注意が必要です(所得税法第9条第1項第4号、所得税基本通達28-5)」

● 「家賃補助」でなく「借り上げ社宅」にすると、所得税と社会保険の負担減!

ーー住宅手当に関しては、会社が家賃の一部を負担する「家賃補助」のほか、会社が住宅を借り上げて家賃の一部を従業員から徴収する「借り上げ社宅」という方法もあります。「家賃補助」と「借り上げ社宅」とで、従業員・会社側の税金・社会保険の負担はどのように異なるのでしょうか?

「例として、アルバイト月給が20万円、家賃6万円とし、会社が家賃の半額を負担するとします。

会社が社員に家賃補助を支給する場合と、借り上げ社宅にする場合では以下のような違いが考えられます。

まず、家賃補助については先程述べた通り、『課税所得』として扱われます。つまり、月給20万円プラス家賃補助3万円をあわせた『23万円』が課税対象となります。

一方、借り上げ社宅の場合は、従業員が賃借料相当額の50%以上を会社に支払っていれば、課税所得とはなりません(国税庁タックスアンサーNo.2597)。

例では、家賃の50%である3万円を従業員が負担しており、従業員は家賃補助と同様に会社から3万円の補助を受けている形ですが、会社からの補助分は課税所得とはならないため、『月給20万円』のみが課税対象となります。

つまり、借り上げ社宅の方が、従業員の課税所得が少なくなるため、従業員が負担する所得税額も少なくなります。また、社会保険料も給与額を基に計算するため、支払額が少なくなります。社会保険料は会社と従業員が折半しているので、結果的に会社の負担金額も少なくなります。

家賃補助の額や借り上げ社宅の賃借料相当額によって状況は異なりますが、借り上げ社宅とした場合は、会社と従業員両方の負担を減らせる可能性があります。家賃補助を検討・導入されている会社は、改めて自社の制度を見直してみてはいかがでしょうか」

【取材協力税理士】

蝦名 和広(えびな かずひろ)税理士

特定社会保険労務士・海事代理士・行政書士。北海学園大学経済学部卒業。札幌市西区で開業、税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味はジョギング、一児のパパ。

事務所名 :Aimパートナーズ総合会計事務所

事務所URL:https://office-ebina.com