朝日新聞も「全国紙」から脱落するのか…社長ゆかりの地「九州・静岡」が夕刊廃止に至った厳しすぎる現実

AI要約

朝日新聞社が福岡・山口など3県で夕刊の発行を休止することを発表し、紙の新聞の危機がさらに深まっていることが明らかになった。

朝日新聞社は過去に愛知、岐阜、三重、北海道などでも夕刊の休止を実施しており、紙の新聞離れが進んでいる実態が浮かび上がっている。

その理由として、原材料の高騰やデジタルサービス利用の増加などが挙げられ、今後も他の地域での夕刊休止が見込まれる。

■「紙の新聞は本当にもうダメなんだな」

 朝日新聞社が10月1日から、福岡・山口など3県で夕刊の発行を休止する。同社が8月2日朝刊で、読者に知らせた。段階的に夕刊発行を縮小してきたが、今回は西部本社(北九州市)を構える福岡県も対象で、「紙離れ」や「部数減」を象徴する事態といえる。6月に就任した新会長・新社長は共に同本社に縁深いが、会社決算も冴えない中、暗いニュースからの出発となった。

 「ちょっと劇画的に表現するならば『セイブよ、お前もか』というところでしょうか」

 男性社員Aは西部本社の夕刊休止について、こう表現した。男性は以前、社内で「セイブ」と呼ばれる西部本社で仕事をしており、夕刊発行業務にもついた経験があるという。同僚らと議論を重ね、何とか読まれる紙面を作ろうと載せるネタを選び、レイアウトにも気を配った。そんな思い出話を披露した後、男性Aは「紙の新聞は本当にもうダメなんだなと実感しますね」と肩を落とした。

■東海3県、北海道、そして九州・山口も…

 男性Aの言葉通りに、朝日新聞社は夕刊発行の縮小を続けている。

 同社サイトや朝日新聞デジタルによると、昨年5月1日から愛知、岐阜、三重の3県で夕刊を休止(昨年4月時点の3県での販売部数は約3万9000部)。続いて今年4月1日から、北海道でも夕刊をやめている。

 北海道での休止については、「新聞用紙など原材料が高騰し」「経費が増加」していることなどを理由として列挙。「北海道では朝刊のみ購読を希望される方や、本社のデジタルサービスを利用する方が増えています」とも説明する。

 福岡など3県での夕刊休止は、これらに続く流れとなる。

 2日朝刊の記事によると、今回の夕刊休止は福岡・山口・静岡の夕刊が対象。北海道と同じく、「原材料の高騰」などを理由としている。朝日新聞関係者によると、3県合計の休止部数は4万部超だという。