スプリング・ジャパン、就航10周年 CA新制服で“日中の架け橋”

AI要約

日本航空傘下のLCC、スプリング・ジャパンは就航10周年を迎え、新制服をお披露目した。

中国路線拡大や新路線開設、国内貨物便の就航など、さまざまな展開を計画。

LCCとしては初の貨物専用機も運航し、JALから連結子会社化された経緯を持つ。

スプリング・ジャパン、就航10周年 CA新制服で“日中の架け橋”

 日本航空(JAL/JL、9201)傘下のLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)は8月1日、就航10周年を迎えた。拠点の成田空港で記念セレモニーを開き、客室乗務員(CA)が同日から着用を始めた2代目新制服をお披露目した。

◆“日中の架け橋”中国路線拡大へ

 スプリング・ジャパンの浅見達朗社長は“日中の架け橋”というコンセプトは変わらないとした上で、今後も中国路線を中心に路線を拡大する意向を示した。同日からは成田-上海(浦東)線を増便し、北京(首都)線を新設する。今後は認知度の高い大都市や耳なじみのない都市など、新たな就航地を幅広く検討していく。浅見社長は新路線について「いろいろ調べている。狙っているところはある」と述べるにとどめ、「チャンスがあるところに行きたい」とした。

 国際線の新設・増便に加え、同日早朝からは国内貨物便として羽田空港にも乗り入れた。浅見社長は「記念する日に新路線の就航と増便ができ、意義深く感じている」と語った。

◆真新しい制服お披露目

 セレモニーでは新制服を着用したCAが6人登場。コーポレートカラーの緑色のカーペットを歩き、真新しい制服をお披露目した。

 今回刷新した2代目の制服はCAが初期企画から参加し、現場の声を反映した機能性とデザイン性を取り入れた。デザインのコンセプトは「安心感」とし、色調にはブランドカラーの黄緑のほか、濃緑も取り入れた。新制服は男性が3パターン、女性6パターンの計9パターンの組み合わせで着用でき、従来の6パターン(男性2パターン、女性4パターン)から組み合わせが増えた(関連記事)。

 浅見社長は新制服について「社員が思いを込めた」と評価。「安全・誠意・笑顔の3つで社会に貢献していきたい」と述べ、次の10年へ決意を新たにした。

 同日の広島行きIJ621便(ボーイング737-800型機、登録記号JA04GR)が出発した175番搭乗口付近で、浅見社長が利用客にあいさつ。同便の乗客には10周年ロゴが入ったクリアファイルなどの記念品を用意し、浅見社長と新制服を着用したCAらが謝意を伝えた。また機側では横断幕を掲げ、手を振って見送った。

 同便は午前8時56分に成田空港を出発。163人が利用し、午前10時28分に広島へ到着した。

◆国内LCC初の貨物専用機も

 スプリング・ジャパンは、中国最大のLCCである春秋航空(CQH/9C)の子会社として発足し、2014年8月1日に就航。成田空港のを拠点とし、就航当初は第2ターミナル(T2)に入居していたが、LCC専用の第3ターミナル(T3)がオープンした2015年4月8日以降はT3を使用している。

 機材は737-800(1クラス189席)で6機保有。現在の国内線は2路線で、就航当初からの広島線と、2016年8月に開設した札幌(新千歳)線を運航している。就航当初に開設した3路線のうち継続しているのは広島線のみで、高松線は2015年10月に撤退し、佐賀線は2023年6月に運休した。また関西線を2016年9月に就航したが、2017年10月に運休している。

 就航から1年6カ月後の2016年2月13日には、国際線に参入。成田-武漢線が1路線目で、翌14日には2路線目の重慶線を開設した。現在は運休中の3路線を含め7路線あり、10周年当日の8月1日夜には北京線を開設し、8路線に拡大する。現在は上海、ハルビン、天津、寧波の4路線を運航。南京と武漢、重慶の3路線は運休が続いている。浅見社長は運休3路線の再開について「具体的なものはない」とした上で「廃止したわけではなく、運休を継続している」と説明した。

 また今年4月11日からは、国内LCCとしては初めて貨物専用機も運航。旅客便同様に成田を拠点とし、ヤマトホールディングス(9064)のエアバスA321ceo P2F型貨物機の運航を受託する。8月1日には羽田空港にも就航し、札幌と北九州へ貨物専用便を深夜早朝帯に運航する。

◆JAL連結子会社に

 就航当初の社名は「春秋航空日本」だったが、2021年11月1日に現社名に変更。2019年4月から新ブランド「SPRING」を取り入れ、空港での案内などは従来からのブランド「スプリング・ジャパン」、社名は「春秋航空日本」を使用してわかりにくかったことから、ブランドと社名をそろえた。

 当初、JALは約5%の出資にとどめていたが、議決権ベースで66.7%に高めて過半数を取得し、2021年6月29日に連結子会社化した。これにより、春秋航空の出資比率は33.3%となった。