新型メルセデス・ベンツCLE200カブリオレは華やかな万能選手だった!今や希少な4シーターオープンカーの実力に迫る

AI要約

メルセデス・ベンツの新型「CLE200カブリオレ」は4シーターオープンでスタイリッシュでスポーティな走りが魅力的。

ドライブモードによってクルマのキャラクターが変わり、快適でスポーティな走りを楽しめる。

内装は広く、赤い内装と白の外板色の組み合わせが特に魅力的。アンビエントライトも楽しめる。

新型メルセデス・ベンツCLE200カブリオレは華やかな万能選手だった!今や希少な4シーターオープンカーの実力に迫る

メルセデス・ベンツの新型「CLE200カブリオレ」を、小川フミオがテストドライブ。4シーターオープンならではの魅力に迫る。

世の中でスタイリッシュなクルマとは? 筆頭にあげたいのは、4人乗りのカブリオレだ。2024年6月に発売されたメルセデス・ベンツのCLE200カブリオレのかっこよさは特筆ものだ。かつ、スポーティな走りも楽しめる。

4人乗りのカブリオレは、とても古典的なスタイルとして知られている。メルセデス・ベンツが、ずっと得意としてきたジャンルでもあり、戦前からずっと作り続けている。

さきに、そのスタイリッシュぶりではトップクラスとしたものの、今では、衝突安全などの点で手がかかるためだろう、長いホイールベースをもつフル4シーターのオープンモデルを手がけるメーカーがほとんどない。

スタイリッシュであると感じられるのは、ベルトラインがフロントからリヤまでまっすぐ続いているからだ。そこはデザイナーがウインドウグラフィクスを、あれこれいじる余地がない。

おかげで、と、言ってはいけないかもしれないが、そのため、シンプルな“美”が生まれるし、いっぽうでフェンダーのふくらみや、トランク部分の造型が、デザイン上の重要な要素になる。今回のCLE200カブリオレは、そこも上手だ。

全長4850mmに、2850mmと長めのホイールベースを組み合わせた車体に搭載されているのは1997cc4気筒エンジン(マイルドハイブリッド)。150kW(204ps)の最高出力と320Nmの最大トルクを持つ。

センターコンソールにわりと控え目に設けられたドライブモードセレクターを操作すれば「エコノミー」「コンフォート」「スポーツ」「インディビジュアル」が、選べる。

選ぶドライブモードによって、クルマのキャラクターが期待以上に変わるのが、印象深い。ふだんゆっくり市街地で、というならエコノミーがいいし、ゴルフに行くときはコンフォートもいい。ドライブを楽しみたいならスポーツ。加速感や乗り心地を含めた操縦性が明瞭に変わる。

期待以上に快適だったし、そして期待以上にスポーティだった。1台で広いニーズをカバーしてくれるモデルだ。フルオープンで速度を上げても車体の剛性感は高く、出来がよい。

戦前から4人乗りのカブリオレを作り続けてきたメルセデス・ベンツの伝統を意識させるのも特徴で、インテリアも大きなモニタースクリーン(日光の反射を避けるため電動で角度を変えられる)など、現代の先端を行くデザインとの組み合わせが。クルマ好きを刺激してくれる。

前席シートは、クッションがややソフトな設定で、身体によくフィットする。ドライビングポジションは、広い範囲で体型をカバーしてくれそうだ。後席も、大人が無理なく座っていられるスペースが確保されている。

試乗した車両は、白の外板色に、真っ赤な内装の組合せ。いい選択だと思う。薄い幌のロードスターだと(紳士傘と同様)幌は黒が“お約束”だが、カブリオレなので幌の色は自由に選んでよい。私だったら、それでも、試乗車と同様、あえて黒のトップにして、オープン時は赤内装を見せる”演出”を楽しむのもいいなぁ、と、思う。

夜だとアンビエントライトを好みで設定すれば、ドアを開けたとき、あるいはトップを開けて走るとき、周囲に対して、昼間より劇的な演出が可能だ。アンビエントライトの効果がもっとも味わえるのは、このカブリオレかもしれない。オーナーは存分に楽しんでほしい

このスタイリッシュなカブリオレは、働きざかりの人のいいパートナーになってくれるだろう。ファミリーカーとしても使える万能選手だ。いっぽう、クルマ遍歴を重ねて人生も円熟期に入ってきたひとにも、ぜひ乗ってもらいたいと私は思う。

キャップでもハットでも被るものから、かける眼鏡、もちろん上着と、それに合わせたシャツとパンツ……と、いったぐあいに、自分とクルマとのコーディネートを楽しめる、希有なクルマである。Tシャツやポロシャツも似合うし、スーツもいい。

今、まだ生き残ってくれている希有なスタイルであり、ドライブも楽しい。¥9,360,000の価格は2.0リッター車と考えると高いけれど、払えるひとには価値のある出来映えだ。