「ボルボだけ」を解体する個性派スクラップヤード 電話が鳴り止まない「人気」の秘密はオーナーにあった

AI要約

レイク・オートス(Lakes Autos)は、ボルボ車のみを取り扱う独特なスクラップヤードである。

オーナーのバリー・コッペンさんは、ボルボ車のスクラップパーツを専門とする業者であり、過去のボルボ車が400台以上も集められている。

コッペンさんは、元々エンジニアとして活躍していたが、30年前に家業を継いでからボルボ車に特化したビジネスを展開している。

「ボルボだけ」を解体する個性派スクラップヤード 電話が鳴り止まない「人気」の秘密はオーナーにあった

英国にレイク・オートス(Lakes Autos)という、他とは一味違ったスクラップヤードがある。東部ベッドフォードシャー州の村、ワイボストンのA1幹線道路から見える。

周辺は風光明媚とは言い難いが、廃棄されたクルマがひしめき合うレイクスの様子は、錆びた金属ではあるものの一種の太古の森のようだ。英国では最近、このような場所はあまり見かけない。

業界の浄化を目的とした新しい規制によって、小規模な自動車解体業者の多くが閉鎖を余儀なくされ、いかがわしい業者は日陰に追いやられた。レイクスは数少ない昔ながらのスクラップヤードの1つとなったが、その事業内容は少しだけ特殊だ。ボルボ車だけを取り扱っているのだ。

約5万6000平方メートルに及ぶ敷地を見て回ると、まるで過去にタイムスリップしたような気分になる。解体されていくクルマはおそらく400台以上あり、ボルボの960、940、740、850、さらにクラシックな244 DLまである。ボルボの黄金時代を彷彿とさせる光景だ。

レイクスのオーナーはバリー・コッペンさん。77歳の彼は、今はもう亡くなった2人の兄弟とともに、以前この場所にあったガソリンスタンドとガレージ、そして周囲の土地すべてを父親から受け継いだ。

コッペンさんはロンドンで生まれ、エンジニアとしての教育を受け、超音速旅客機コンコルドの初期プロトタイプやジェット戦闘機ジャギュアの開発に携わった。その後、自動車産業に足を踏み入れた。30年前に両親を亡くし、兄弟とともに父の経営していた会社に移ったが、すぐに野心が芽生えた。

「この辺りには10ほどのスクラップ工場があり、スペアパーツを売るために競ってクルマを集めていました。わたしは1つのメーカーに集中することに決め、ボルボを選びました。ボルボは頑丈で、オーナーはできる限り長く走らせたいと考えていたからです」とコッペンさん。

レイクスの眼の前には、イングランドを南北に走るA1幹線道路がある。現在は片側2車線だが、コッペンさんがスクラップヤードを始めた当時はまだ片側一車線だったそうだ。「トラックを見かけるのも10分に1台程度でしたが、わたし達が回収・販売する部品を求めるお客さんは後を絶ちませんでした」

「商売は順調でした。5年前、兄弟が病気になってからはガレージとガソリンスタンドを閉鎖して、ボルボを解体して売ることに専念したんです」