50ccスクーターが消滅ってホント!? 圧倒的人気もなぜ?「原付一種」免許の行方は

AI要約

2025年以降、50cc原付の新車がなくなる理由としては、環境規制の厳格化が挙げられる。

バイクメーカーは規制をクリアするためにコストをかける必要があり、新車価格を引き上げることが避けられない。

50cc原付に乗っているユーザーは、今後電動化された車両への移行や、中古市場を利用することが検討される。

50ccスクーターが消滅ってホント!? 圧倒的人気もなぜ?「原付一種」免許の行方は

 自家用から業務用まで幅広く使われている排気量50ccの原動機付自転車一種、いわゆる「原付」の新車が、2025年以降なくなるということをご存知でしょうか。

 16歳以上なら運転免許試験場の学科試験に合格し、原付講習を受けるだけで比較的簡単に免許が取得できる50cc原付は、30km/hの制限速度や二段階右折などの面倒な交通ルールがあるものの、車両価格が安く、低燃費で、維持費も掛からないことから「便利なアシ」として長年、多くの人々に愛されてきました。また、飲食店の出前や郵便、新聞の配達などの業務用としての需要も高く、なくなってしまうと社会活動にも支障が出ることになります。

 新車販売台数こそ、最盛期の30分の1以下の9万4300台(2023年)にまで激減した50cc原付ですが、全国保有台数は465万2686台(総務省調べ)と多く、オートバイ市場で相変わらず一定の人気を保っています。そのようななか、前述したように依然として必要としている人が一定数いることから、新車の供給がなくなることは大きな問題となります。

 それでは、どうして50cc原付はなくなってしまうのでしょうか。

 50cc原付の新車がなくなる理由は、2022年11月から施行された「平成32年(令和2年)排出ガス規制」にあります。これは世界でもっとも厳しいと言われる欧州の「EURO 5」とほぼ同じ基準にあるとされています。50cc原付に関しては技術的にクリアが難しいことから3年の猶予が与えられていましたが、その期限が2025年11月に迫っているのです。

 一酸化炭素や窒素酸化物などの排気ガスは、浄化装置であるマフラー内の触媒によって浄化を行うのですが、規制値をクリアするには触媒を300度以上の高温にする必要があります。エンジンの発熱量が小さい50cc原付の場合、触媒が機能する温度に達するまでには4分ほど必要で、その間は汚れた排気ガスが素通りする形になります。

 バイクメーカーによれば、コストをかければ規制をクリアするのも難しくないそうですが、その場合は新車価格を大幅に引き上げなければ採算ラインに乗せることができないとのことです。

 2000年代まで欧州で製造されていた50ccエンジンを搭載したモペッド(エンジン付き自転車)やスクーターは、すでに生産終了もしくは電動化されており、排気量50ccのミニバイクは世界的に見ても市場が衰退しています。

 延命させても輸出はほとんど期待できず、また値上げによって国内需要の先細りが予見されることから、日本のバイクメーカーもやむなく50cc原付の生産終了へと舵を切ったようです。

 それでは現時点で、50cc原付に乗っているユーザーは今後どうしたらよいのでしょうか。