“関釜フェリー”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない

AI要約

関釜フェリーは日本と韓国を結ぶ海の架け橋として半世紀以上にわたり人々の往来を支えている。

13時間の航海で8時間しか船上で過ごさず、寝ながら外国に到着できるユニークな体験ができる。

関釜フェリーは飛行機に比べて手軽に利用でき、定額の料金設定で当日でも乗船することができる。

“関釜フェリー”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない

 1970(昭和45)年6月、日本と韓国を結ぶ“海の架け橋”として誕生した関釜フェリー。以来、半世紀以上にわたり、両国の人々の往来を支え続けている。

 下関と釜山を結ぶこの航路は、日本側の関釜フェリーと韓国側の釜関フェリーが共同で毎日1往復を運航。毎日19時45分に下関を出発すれば、翌朝8時には釜山に到着する。逆に、釜山21時発なら翌朝7時45分に下関に到着。約13時間の航海時間だが、実質的な移動時間は

「8時間」

程度だ。残りの時間は早朝の到着を避けるため、港外で待機する。この時間配分により、乗客は

「寝て起きたら外国」

を体験できるのだ。夜行列車がほとんどなくなった今、飛行機やバスと異なり移動しながらぐっすり寝られる体験は貴重だ。

 しかも「寝て起きたら外国」だけでなく、

「乗った瞬間から異国情緒」

が味わえるのもよい。九州運輸局の「令和5年度上半期 日韓旅客定期航路の輸送実績」によると、関釜フェリーの乗客は、韓国人乗客が4万3288人であるのに対し、日本人乗客は

「8974人」

である。圧倒的に韓国人の利用が多く、船に一歩足を踏み入れた瞬間から、すでに韓国の雰囲気に包まれる。観光やビジネス、買い物など、利用目的は多岐にわたる。しかも、海外旅行なのにハードルは低い。例えば飛行機と比較してみよう。

 確かに飛行機でも、空港のカウンターで「釜山、大人1枚」といえば当日チケットを購入できる。しかし、高額な正規料金を払うことになる上、空席があるとは限らない。また、正規料金以外でも料金は時期によって乱高下する。

 一方、関釜フェリーなら、繁忙期を除けば、パスポートさえあれば当日でも乗船できる。料金も定額だ。

「釜山、大人1名」

とカウンターで伝えて料金(と、諸税)を支払うだけで、翌朝は外国だ。

 近年、国内のフェリー航路は次々と姿を消している。そうしたなか、この国際航路が半世紀以上も続いているという事実は、それだけでも驚くべきことだ。しかし、関釜フェリーのよさはその長い歴史だけにとどまらない。

 本稿では、関釜フェリーの 「やばい!」4つのポイントを詳しく解説したい。「やばい!」に隠された、このユニークな交通手段の魅力を一緒に探ってほしい。