スコダ・スパーブ 詳細データテスト 広い室内 走りと乗り心地の好バランス 控えめながら満点ワゴン

AI要約

スパーブは、スコダ主導で開発されたパサートの兄弟車として4代目が登場。新体制によりオフメニュー・ユーザーインターフェイス・コンセプトなど革新が進んでいる。

スパーブはワゴンとして競合が減少し、クラシックなワゴンの需要を意識している。SUVではなくユーザーにワゴンを選ばせることに挑戦している。

新型スパーブはマルチメディアシステムやPHEVのバッテリー容量が進化し、エンジンのアップデートも行われている。ワゴンらしいデザインと空力の向上にも注力している。

スコダ・スパーブ 詳細データテスト 広い室内 走りと乗り心地の好バランス 控えめながら満点ワゴン

スコダは、世界的にも、フォルクスワーゲングループ内でも、地位を高めてきた。スパーブは1934~49年に存在した車名だが、2001年にパサートのストレッチ版として復活。その後はテールゲートとしても使える風変わりなトランクリッドを装備したりもしたが、先代はほぼパサートと変わりないクルマとなった。現行モデルは、パサートの兄弟車としては4代目だ。

現行スパーブは、パサートと並行しつつも、スコダ主導で開発が進められた。チェコのムラダー・ボレスラフに本拠を構えるスコダは、フォロワーからリーダーへと昇格し、新型車の開発で重要な役割を務めるだけでなく、プラットフォーム共用の制限を取り払った。常識的でユーザーフレンドリーさを増す、オフメニュー・ユーザーインターフェイス・コンセプトの導入などは、新体制がもたらしたものだ。

同時に、スパーブは以前より競合が減っている。ドイツのプレミアムブランドは大柄なワゴンを残しているが、ジャガーはXFの生産を終了し、フォードやヴォグゾール、日本メーカーはだいぶ以前に撤退している。そこでスパーブがチャレンジするべきは、今や幅を効かせているSUVではなく、クラシックなワゴンをユーザーに選ばせることだ。

スコダはSUVで、小さからぬ成功を収めている。とくにスパーブの兄弟分であるコディアックはヒットモデルだ。フォルクスワーゲンのパサートとティグアンがそうであるように、MQB Evoプラットフォームの最新版をベースとしている。

大幅な進歩をもたらしたのは、全面的に見直したマルチメディアシステムや、ドラスティックにキャパシティが増えたPHEVの駆動用バッテリーだ。先代スパーブiVで13kWhだったバッテリー容量が、新型では25.7kWhとなった。

エンジンはガソリンもディーゼルも、おなじみの4気筒のアップデート版だ。ちょっと驚きなのは、エントリーレベルの1.5Lガソリンにしかマイルドハイブリッドが用意されないことだ。MTは完全に廃止され、全車DCTとなる。PHEVは6速、それ以外は7速だ。

世代交代ではよくあることだが、ボディサイズはそれなりに大きくなった。それでも、多くに比べて慎重なほうだ。全長はおよそ4.9mで、先代比40mmの延長だが、ホイールベースは同じで、オーバーハングが伸ばされている。全高もわずかに引き上げられた。しかし、15mmナローになったボディ幅は、タイトな市街地の道路や、生垣に挟まれた田舎道ではありがたい。ミラーを含むと55mmワイド化しているものの、新型車の大型化に歯止めがかかるというのは、われわれとしては朗報だと考える。

デザインについては、ワゴンらしさを重視し、流行りものを徹底的に排除したようだ。ライトバーやイルミネーショングリル、ブラックホイールやパフォーマンスブランドのアグレッシブなボディキットなどは設定していない。グリルやウインドウ周りのクロームトリムも控えめだ。先代より熟成され、要素の多いコディアックより、シンプルなEVのエンヤックに近い路線だ。

低いボディは、エンジニアたちに空力へ力を入れる機会を与えた。EVほど開口部を小さくできるわけではないが、よりフラットなフロントウインドウや流れるようなルーフライン、サイドフィン付きのルーフスポイラー、新形状のドアミラー、グリルのアクティブシャッターなどにより、エステートのもっとも空力に優れた仕様のCd値は0.25をマークする。

これまでどおり、スパーブにはセダン風の5ドアハッチバックも設定される。そちらのもっとも優秀なCd値は0.23だ。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクという一般的な組み合わせ。最新世代のMQBには、ダイナミックシャシーコントロール(DCC)プラスというオプションが導入された。これはアダプティブダンパーに、伸び側と縮み側でセパレートしたバルブを加えたもので、より広い調整範囲を実現するという。