4WDも設定あり! スズキの新“コンパクトSUV”「フロンクス」は運転が楽しい!! 6速ATが実現する「ダイレクト感ある走り」がお見事です

AI要約

2024年秋に発売予定のスズキのコンパクトSUV「フロンクス」のプロトタイプ試乗レポート。

新型「フロンクス」の内外装や走行性能についての印象。

トルクコンバーター式ATを採用した新型「フロンクス」の走行感について。

4WDも設定あり! スズキの新“コンパクトSUV”「フロンクス」は運転が楽しい!! 6速ATが実現する「ダイレクト感ある走り」がお見事です

 2024年秋ごろに正式発表・発売がおこなわれるスズキのコンパクトSUV「フロンクス」。それに先立ち、プロトタイプを試乗することができましたので、本記事ではその印象をレポートしたいと思います。

 日本仕様の新型「フロンクス」は、まだ詳細なスペックが明らかになっていませんが、今回試乗したプロトタイプの車内にあったスペックシートには、全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mm、ホイールベース2520mmとの記載がありました。ちなみに車両重量は1070kgで、最小半径はわずか4.8mと取り回しもよさそうです。

 日本仕様はインテリアの仕立てが上質で、電動式パーキングブレーキなど格上の装備が与えられている新型「フロンクス」。同様に、タイヤやサスペンションのコイルスプリングとダンパー、さらに電動パワーステアリングの制御も、快適性を高めると同時に、路面をしっかりとらえられる日本仕様独自の味つけとしています。

 サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式を採用。これは、海外市場で売られているスズキの5ドアハッチバック「バレーノ」をベースとしています。

 そんな新型「フロンクス」は、日本仕様にだけ4WD車を設定。雪国に住むユーザーにもしっかりと配慮しています。

 搭載されるエンジンは、“K15C”型と呼ばれる1.5リッターの自然吸気。そこにマイルドハイブリッド機構を組み合わせ、トランスミッションには6速ATを選択しています。

 なおエンジンは、最高出力74kW(10.6ps)/6000回転、最大トルク135Nm/4400回転を発生。一方、組み合わされるモーターは、最高出力2.3kW(3.1ps)/800~1500回転、最大トルク60Nm/100回転を発生します。

●プロトタイプでテストコースを疾走した印象とは?

 今回、プロトタイプを試乗したのは、高低差がしっかりあって曲がり込んでいくコーナーが多いツイスティなテストコース。最初にステアリングを握ったのは前輪駆動の2WD車でしたが、そんな難コースでも新型「フロンクス」はハンドリングのよさが印象的です。

 速めのペースで走らせてみても、ねらった走行ラインをしっかりとなぞれるライントレース性が抜群。ハンドリングのよさに定評のある同じスズキの「スイフト」のような安定感と安心感があります。

 一方、「スイフト」に比べると、ステアリングを切った直後の初期応答がマイルドで、その分、軽快感は控えめですが、その代わりに重厚感があり、ひと回り大きなクルマに乗っているかのような印象を受けます。「スイフト」に比べると落ち着きが増している感覚です。

 いずれにせよ、新型「フロンクス」の走りは期待を裏切らないどころか、想像を超えるレベルにありました。

 続いて4WD車でコースイン。ハンドリングに関しては2WD車と変わらない印象なのがかえって好印象でした。

 これは、4WDメカにビスカスカップリング式を採用しており、作動が低速域かつ前後輪に回転差が生じた状況でしか4WDにならないことが影響しているようです(今回はドライ路面なので、常時2WDで走行)。

 ただし、新型「フロンクス」自体は乗り心地がすこぶる良好ですが、4WDと2WDを乗り比べると、前者は路面の段差を超えた際の衝撃がわずかにゴツゴツと伝わってくる印象を受けました。

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 ところで、そんなテストコースを走っていてふと感じたのは、とても気持ちよく走れるクルマだな、ということ。エンジンは特になんの変哲もないフツーのユニットなのですが、アクセル操作に対する反応がダイレクトで、「これだけ加速して欲しい」というドライバーの思いと操作に対してしっかりと応えてくれる、シンクロ感が心地よく感じたのです。

 その秘密はトランスミッションにありました。新型「フロンクス」はこのクラスでは珍しいトルクコンバーター式のATを採用。しかも、ATのロックアップ率が高いので、アクセル操作に対するダイレクト感が強いのです。

 もしもクルマ好きの人であれば、トランスミッションがATというだけで新型「フロンクス」を選びたくなるかもしれません。