五輪日本代表が「審判にモヤモヤする採点競技」をついに克服、背景には《科学の力》? 最先端施設「ハイパフォーマンススポーツセンター」が持つ無限の可能性

AI要約

国立スポーツ科学センター(JISS)のスポーツ科学研究部門が採点競技における演技の出来栄えの決定要件について研究している。

JISSは、採点競技における要素の客観的な評価方法を模索しており、国際審判員も協力している。

HPSCの独創性を活かすことが、最も重要な手段であると考えられている。

五輪日本代表が「審判にモヤモヤする採点競技」をついに克服、背景には《科学の力》? 最先端施設「ハイパフォーマンススポーツセンター」が持つ無限の可能性

前回記事『「日本の金メダルラッシュ」はここから始まった…日本最先端施設「ハイパフォーマンススポーツセンター」が《オリンピアンの虎の穴》と呼ばれる理由』に引き続き、「国立スポーツ科学センター」(JISS)スポーツ科学研究部門の窪康之副主任研究員がスポーツサイエンスの限りない可能性、時間を経て明確になった支援のあり方について語る。

ここに「ハイパフォーマンススポーツセンター」(HPSC)の興味深い事業報告書がある。研究テーマのタイトルは「採点競技における演技の出来栄えの決定要件の究明」。同じ採点規則に則っているにもかかわらず、審判員によって得点には違いが生じる。そんなファジーな要件に、スポーツサイエンスはどう切り込むのか。

「陸上とか競泳みたいに最終的に何mか走ったり、泳ぎ切ったタイムで勝負したりするとなれば、これを短くするためにどうするかを考えればいいのですが、採点競技の場合、まずは点数がそもそもどういう要素で成り立っているのかということを明確にしないといけない。私たちは物理量とか生理学的な数字に置き換えられないとアプローチができないですからね。

そこで採点規則を見てみると、ひざがよく伸びているとか、体のこの部分がきちんと曲がっているとか書いてありますが、実際にそこを測ってみると、採点に差があってもそんなに違わなかったりします。ということは、ひざを見ているようで、もっと全体を見ている、または全体を見ているようで実は特定の部分に注目しているのではないかというようなことを調べています。

国際審判員の資格を持っている方にも来てもらって審判のルールの解釈の仕方や評価のトレンドみたいなものと客観的な指標のズレがあったりするのかといったことも研究して、我々なりの物差しを作っているところです」

そうした独創性を十分に発揮していくことこそが、HPSCの存在意義を高めるもっとも重要な手段になると見定めるようになったのは、実はここ数年のことだという。