えええっ、新型フリードの2列目シートは2種類あるってマジなの? ホンダ開発陣の隠れた熱意とは

AI要約

事前予約から受注好調のe:HEV AIR EXが一番人気で、年内納車が難しい状況に。

フリードの2列目シートにはキャプテンシートと3人掛けベンチシートの違いがあり、座り心地が異なる。

CROSSTARとAIRの2列目シート構造の違いを考え、ユーザーのニーズに合わせたシートを開発している。

えええっ、新型フリードの2列目シートは2種類あるってマジなの? ホンダ開発陣の隠れた熱意とは

 事前予約の段階から受注好調で、正式発表後は一番人気のe:HEV AIR EXだと「年内納車は難しい」という嬉しい悲鳴のフリード。2列目が独立型キャプテンシートとなる6人乗り仕様が人気の中心となっているが、セカンドシートが3人掛けベンチシートの7人乗り仕様がAIRのFFに設定される。このベンチシートがなかなか凝っているのでありました。

 文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:奥隅圭之、ベストカー編集部

 フリードの2列目シートは左右独立型のキャプテンシートが基本形となる。AIRにもCROSSTARにも2-2-2に6人乗りが設定される。一方、CROSSTARには2列シートの5人乗り仕様が、AIRのFFモデルには2-3-2の7人乗り仕様が設定されている。

 この「3人がけ2列目シート」は、いわゆるベンチシートなのだが、AIR用とCROSSTAR用、一見同じ形状に見えるのだが、座り比べると微妙に座り心地が違うのだ。

 CROSSTARはやや背もたれ中央部のクッションが固く、背中が押し出されるような感覚なのだが、AIRはソフトに沈み込んでフィットする着座感。

 これって個体差?それともシート表皮の違いが着座感の差異になっているの?

 と、確認したら、3人がけのベンチシート、AIR用とCROSSTAR用で構造が違うのでありました。

 CROSSTARは、座面クッションを前方に引き起こして背もたれを前倒させることでフラットなスペースを作り出せる構造。AIRは、スライドを最前位置にして背もたれを前倒させると、連動してシート全体がクルリとロールアップする構造。

 この構造の違いが座面や背もたれのクッション厚さやストロークに違いを生んで、座り心地の差異を生じさせていた、ワケだ。

 これ、なかなか奥が深い話。だって、フリードの売れ筋は圧倒的に2列目キャプテンシートの6人乗り。2列目3人がけベンチシートは、全体量から見たら数は少ない。生産効率を考えたら「共通仕様」としたいところだ。

 しかしフリード開発陣は専用シートを開発した。CROSSTARの5人乗りは、後部荷室のフロアボードと一体化して車中泊ベッドになるのがポイントなのだ。一方AIRでは跳ね上げ収納式3列目シートがあるため、2列目はロールアップさせることで低いフロアを活かした広大な荷室空間を作り出せることが価値となる。それぞれのユーザー層や使われ方を考えたうえでの作り分けなのだ。

 ちなみに新型フリードの納期だが、前述の通り一番人気のe:HEV AIR EXだとすでに9カ月待ちということで年内納車どころか、ヘタすりゃ来年春になる。ところがCROSSTARは納期4カ月ということなので年内に納車となりそう。

 これ、CROSSTARの人気が低いということではなく、e:HEV AIR EXに受注が集中してしまった「見込み違い」が要因。当初計画では「AIR」、「AIR EX」、「CROSSTAR」それぞれ30パーセントずつで生産計画を立てていたのだが、実際の受注状況は「AIR EX」が68パーセント、「CROSSTAR」が28パーセント、「AIR」が4パーセント。CROSSTARはほぼ計画通りだが、「AIR」が少なく、上級グレードの「AIR EX」に集中しているのだ。