トヨタにピンチ到来か…「EV大逆風」の”最大の落とし穴”が発覚!EVに乗ってみてわかった、「EV時代は意外と早くやってくる」と確信した3つの現実

AI要約

戦略コンサルティング業界に古くから伝わる失敗事例があります。世界で最初にコンピュータが作られたときの専門家による未来予測では、世界のコンピュータ需要は5台だと明らかに間違った推計がされました。

コンサルタントがコピーの需要予測をした際には、カーボン紙の売上高から計算して「未来のオフィスで使われるコピーの枚数はこの程度」と考えたのです。実際はコピー機が便利だとわかったおかげで、オフィスにはコピーした書類が大量に溢れることになりました。

それでEV、つまり電気自動車の話をしたいと思います。EVにはちょっとした逆風が吹いている様子で、テスラ株の動きを通じて投資家が未来のEV市場を評価していることがわかります。

トヨタにピンチ到来か…「EV大逆風」の”最大の落とし穴”が発覚!EVに乗ってみてわかった、「EV時代は意外と早くやってくる」と確信した3つの現実

戦略コンサルティング業界に古くから伝わる失敗事例があります。

世界で最初にコンピュータが作られたときの専門家による未来予測では、世界のコンピュータ需要は5台だと明らかに間違った推計がされました。

当時は、コンピュータは軍が弾道計算をするための用途しかなく、その用途のために天文学的に高価な機械を買える国は5ヵ国しかなかったからです。

ゼロックスが登場した当時も、コピーマシンの需要予測は実際の未来よりも大幅に下回った数字が算出されました。コピーマシンがなかった時代、コピーは一枚か二枚しか作成できないのが常識でした。

カーボンコピーと言ってタイプライターで書類を作るときにプリント用紙の間にカーボン紙を挟むことで、一度に二枚(ないしは三枚)の書類をタイプしていたのです。

メールの宛先にCCと入れるのは、このカーボンコピーの名残です。

コンサルタントがコピーの需要予測をした際には、カーボン紙の売上高から計算して「未来のオフィスで使われるコピーの枚数はこの程度」と考えたのです。

実際はコピー機が便利だとわかったおかげで、オフィスにはコピーした書類が大量に溢れることになりました。

この失敗事例からわかることは、実際に使ったことがない人が想像する未来予測というものは大きく外れるということです。

それでEV、つまり電気自動車の話をしたいと思います。

今、EVにはちょっとした逆風が吹いている様子で、自動車業界ではやや関心が薄れ始めています。ところがその動きを敏感に感じて下落していたはずのテスラ株は、いつのまにか高騰を始めています。

投資家が捉えているのは「EVの逆風は政治的」で、一時的な現象だということです。

長期的には脱炭素で世界全体にEVシフトが進むシナリオには変更がなく、かつ、その未来ではEVだけでなく充電インフラやロボタクシーなど関連ビジネスでもテスラが市場を支配しそうだと投資家が判断しているのです。

そもそもEVへの逆風は、EVが普及してほしくない人、あるいはEVに乗ったことがない人がまき散らしている現象です。また、EVが進むと考えている人も、前提として「EVはこのままだとゆっくりとしか普及しないだろう」と考えているようです。

しかし、その主流の予測は、私には論点がずれているように思えます。理由は私が2台のEVを利用している、EVのヘビーユーザーだからです。

EVを持っていないひとたちが「ユーザーニーズはこんなものだろう」と考えて投資をしている現状が、ユーザーから見たニーズとかなりずれているのです。

EVの商品開発だけでなく、充電インフラについても大きく間違った想定で事業開発が行われているように思えて仕方ありません。この記事ではEVビジネスに関わる人による未来予測のどこが、ピントが外れているのかをまとめてみたいと思います。

EVを持っていないひとたちが考えるEVビジネスの要点は、以下の3点のようです。

1.EVは航続距離が短いので、充電インフラが整わないと普及しない

2.EVが売れるには航続距離をどう伸ばし、充電時間をどう短縮するかが勝負だ

3.EV時代が来てもモビリティ需要はそれほど変わらない

実は3つとも、EVのヘビーユーザーの視点でみるとピント外れです。具体的にEVライフというものがどのようなものか、体験者の立場で紹介しましょう。