スマイルアップ山田CCO「金銭補償は救済の一部」 コンプラ専門弁護士がみる「旧ジャニーズ事務所の贖罪」

AI要約

元ジャニーズ事務所の性加害問題から1年が経過し、補償業務はスマイルアップ社が担当している。

999人の被害者が報告されており、500人以上の方と補償内容に合意が得られている状況。

東山社長は被害者との対話に主体的に関わり、取締役会での報告を通じて補償に生かしている。

スマイルアップ山田CCO「金銭補償は救済の一部」 コンプラ専門弁護士がみる「旧ジャニーズ事務所の贖罪」

故・ジャニー喜多川氏による性加害問題が大々的に報じられてから1年。旧ジャニーズ事務所は実質解体となり、現在はタレントのマネジメント業務を「STARTO ENTERTAINMENT」(スタートエンターテイメント)が行い、「SMILE-UP.」(スマイルアップ)が被害者への補償業務を行っている。

そのスマイルアップ社で2023年9月からチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を務めるのが山田将之弁護士だ。再発防止の観点からコンプライアンス体制の構築を主に担っている。補償の進捗状況などを山田氏に聞いた。

 ――補償受付窓口に被害を申告した方は999人です(取材時点。7月16日の公表で1001人に)。山田さんはこの人数をどうみていますか。

 報告書(外部専門家による再発防止特別チームが昨年8月に公表)などが出た後にこの会社に関わるようになったので、旧事務所の実態について把握しきれていないが、999人は多いとの印象を持っている。

 一方で、補償内容に合意していただける方も多いなと感じている。救済委員会の仕組みができて1年も経ってない段階で、約500人の方に補償が進んでいる状況は、民事訴訟で賠償していくイメージで考えると、普通ありえない。それなりにスムーズに進んでいるのではないか。

 ――補償内容を通知した約500人の94%の方と合意できたと公表しています。補償内容は独立した外部の「被害者救済委員会」が決めていますが、それだけ合意を得られた理由について何か聞いていますか。

 被害を受けたことをもう思い出したくないから早く解決したいという方もいらっしゃるだろうし、過去のことを組織として認めて謝罪したということに一定の救済を得た方もいると思う。一概にこうだと一般化することは難しい。なお補償の進捗については毎月必ず取締役会で報告されている。

■被害者との対話は東山社長にしかできない

 ――取締役会で報告されているということは、東山紀之社長も主体的に関わっているのでしょうか。

 東山社長はとくに被害者との対話などを中心に行っている。対話の場で「こういう話があった」ということは取締役会で共有して補償に生かしていく形になっている。

 ――山田さんの目には、経営者としての東山社長の姿はどう映っていますか。東山さんに経営を担わせるのは荷が重いという議論もありました。